遅すぎるチャレンジなどない。60歳以上が対象の新文学賞「Never Too Late Award」

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「やってみたい」「続けたい」と思うことがあっても、年齢を重ねるごとにそれが叶わぬ夢となってしまう人は多いだろう。しかし、年を取っても、あるいは年を取ったからこそ、叶えられる夢というのがあってもいいのではないだろうか。大切なのは、年齢に基づいた偏見や差別などのエイジズムにとらわれず、年齢を問わず志ある人たちがチャレンジできる機会を得られることだ。

今回、イギリスで開催される国際執筆コンペに、新たな文学賞「Never Too Late Award」が創設された。文字通り、「チャレンジするのに遅すぎることはない」ことを証明するための賞であり、60歳以上の作家の隠れた才能を開花させることを目的としている。

この賞を支援するのは、ロンドンにある創業100年以上の老舗出版社・A.M.Heath Literary Agencyと、『My Name is Leon』の著者キット・デ・ワール氏(2024年12月現在64歳)だ。

貧困家庭で育ち、16歳で学校を中退したワール氏は、56歳で作家としてデビューした。ワール氏の小説は高い評価を受け、ベストセラー小説『My Name is Leon』は、イギリスのGCSE(義務教育終了時に受験する国家資格試験の英文学カリキュラム)に取り入れられた。現在、ワール氏は回想録やテレビドラマの作家、執筆コンペの審査員としても活躍するかたわら、奨学金のスポンサーを務め、作家候補生の主導役を担っている。

そして、2025年4月にはワール氏の最新作『The Best Of Everything』が出版されるという。ブリッドポート賞を二度受賞し、ワール氏は「決してあきらめない心が、高齢での受賞につながったことを学んだ」The Booksellerの取材で話している。

新しい文学賞Never Too Late Awardは、大器晩成の可能性を秘めて執筆活動を続ける高齢者たちの背中を押してくれるだろう。受賞すれば、賞金500ポンド(約95,000円)を手にすることができるだけでなく、より広い範囲の人々に作品が読まれることになる。応募の締め切りは、2025年5月31日だ。

年を取ると、本人が老いを理由に物事を諦めることが当たり前になり、周りもそれを受け入れる傾向がある。しかし、高齢の人々が社会で活躍できる機会がより多くなれば、「年齢を重ねること」をポジティブに受け入れる人もまた増えていくのではないだろうか。

【参照サイト】NEW! Never Too Late 60+ award
【参照サイト】New writing award for authors aged 60+ to prove it’s ‘Never Too Late’
【関連記事】エイジズム(年齢差別)とは・意味

Edited by Megumi

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