視覚障害のある人々がつくる「ネジを使わないメガネ」。点字に着想を得た、視覚優位ではないものづくり

Browse By

真っ暗闇の中でのメガネ作り、あなたは想像できるだろうか。メガネ作りは小さなネジを使った細かい手作業が多く、一般的には明るい作業場を要する。しかし、南米・コロンビアのメガネブランド「Soul Optic(ソウル・オプティック)」では、暗闇の中の手作業でメガネが作られているという。

Soul Opticは、メガネ職人として視覚障害のある人々を雇用している。職人たちは、点字板に着想を得たシステムを用いて部品を一つひとつ丁寧に組み立て、ネジのないメガネを作るのだ。

Image via Soul Optic

Image via Soul Optic

コウモリは、暗闇の中で効率的に獲物の距離や形状を把握し捕獲するため、声帯を震わせて超音波を出し、その反射音を受信する、超音波利用能力(エコーロケーション)が発達している(※)。Soul Opticで働く人々は、暗闇の中で視覚に頼らず動くコウモリのように、視覚以外の感覚を活かしてメガネを作っているのだ。フレームの特徴的なブリッジデザインは、そんなコウモリからもインスピレーションを得ているという。

Soul Opticのウェブサイトによると、「サステナブルな素材にこだわり、ゼロ・ウェイストの梱包で環境負荷の削減に取り組み、機能的かつユニークなデザインを誇るメガネ」と記載されている。

ポイントは、視覚障害のある従業員に合わせて製品と生産プロセス自体が開発されているということだ。仕組み自体を視覚優位ではない設計になることにより、今まで選択肢が限られていた人々により多様な職の機会を提供することもできる。そしてその設計こそがブランドのアイデンティティであり、メガネのデザインの核にもなったのだ。

Soul Opticのメガネは、視覚障害のある人々とともに製造し、繊細なものづくりを届ける、インクルーシブなものづくりの好例となるだろう。

Bats Echolocation National Park Service

【参照サイト】Soul Optic
【参照サイト】Colombia’s Soul Optic rethinks eyewear production to employ non-sighted workers
【関連記事】真っ暗なレストランで食事したら、多様性がみえてきた。パリの「Dans le Noir?」訪問記 

Edited by Megumi

FacebookTwitter