屋外看板をそのまま遊具に。洗剤広告が子どもたちに伝える、外遊びの楽しさ

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都市に住む子どもたちは、どれくらい自由に遊べているのだろうか。急速な都市化やテクノロジーの普及により、子どもたちが屋外で遊ぶ時間は激減している。日本では、外で1日2時間以上遊んでいる子どもは、わずか9%だという(※1)。都市部で安全に遊べるスペースが減っていることも、子どもたちが自由に身体を動かし、創造力を育む機会が失われつつある一因になっているようだ(※2)

都市開発が進むトルコのイスタンブールでも、子どもたちが屋内に閉じこもりがちだという(※3)。そこで、ユニリーバが展開する洗剤ブランド・Dirt Is Goodは、イスタンブールで「Out Of Home(家の外に出よう)」キャンペーンを実施。この取り組みは、子どもたちに自然と触れ合い、五感を刺激しながら、屋外で遊ぶ楽しさを感じてもらうことを目的としている。

その特徴は、屋外広告を遊び場に変えてしまったこと。市内3ヶ所の大型広告を活用して、滑り台やサッカーゴール、バスケットボールコートが設けられた。バスケットボールコートでは、屋外広告の看板の側面にシュート用のゴールが設置され、子どもたちが即席試合を楽しめる。これまで看板は、単なる情報伝達の媒体だったが、遊び場に変えることで、都市部の子どもたちが身近な場所でリフレッシュや運動の機会を得られるようになったのだ。

 

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屋外広告においては、市民が自由に使える場所が減ってしまったり、過剰な消費を駆り立てたりと、さまざまな問題を孕んでいるのが現状だ。同キャンペーンでも、広告の商業的な意図が変わらない点や、子どもたちの注意が広告メッセージに向いてしまう懸念も忘れてはならないだろう。

そんな中で、広告スペースが遊具や休憩スペースとして活用される事例が増えることは、都市がより根本的に暮らしやすく、自由に遊ぶこともできる場に近づいていく一歩にはなるかもしれない。

都市の空間を“子どもたちが自由に遊べる場所”として見直していくこと。それは、企業や自治体、そしてそこで暮らす私たち一人ひとりが取り組めることでもある。Dirt Is Goodが掲げる「すべての汚れた瞬間は、成長のチャンスであり、かけがえのない思い出」というメッセージは、そんな未来のヒントを私たちに投げかけている。

※1 外遊びが減少。多世代が「遊び」でつながる地域のコミュニティ拠点としての「冒険遊び場」が必要な理由とは? 日本財団ジャーナル
※2 Physical Activity World Health Organization
※3 Changing places, changing childhoods: Regeneration and children’s use of place in Istanbul Research Gate
【参照サイト】Dirt Is Good Transforms Billboards into Play Spaces to Get Kids ‘Out of Home’
【参照サイト】Persil
【参照サイト】‘Anti-play culture’ limits children’s time outside
【関連記事】英国で「屋外広告のない街」を求める声。広告が心身にもたらす影響が明らかに
Edited by Megumi

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