日本企業にCCO・最高循環責任者の役職誕生へ。ECOMMITが国内初の設置

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サーキュラーエコノミーの実装は、一企業の努力だけでは完結しない。サプライチェーン全体、さらには業界や行政の垣根を超えたエコシステムの形成が不可欠である。

そうは言っても、結局は「誰か」が従来の枠を超えて、異分野を繋ぐ挑戦を始める必要がある。システミックな変革も、最初の小さな一歩は多様な立場を理解している個人の仲介であるのだ。

2026年1月20日、資源循環サービスの開発・提供を行う株式会社ECOMMIT(エコミット)は、新たに「CCO(Chief Circularity Officer:最高循環責任者)」という役職を設置し、同社の上席執行役員である坂野晶氏が就任したことを発表した。同社によると、CCOという役職の設置は日本国内の企業としては初の事例だという。

サステナビリティ経営が当たり前となる中で、「CSO(Chief Sustainability Officer:最高サステナビリティ責任者)」を置く企業は増えている。しかし、今回新設されたのは「サステナビリティ」ではなく、より具体的に「サーキュラリティ」に特化した最高責任者だ。ここには、循環経済への移行を単なる企業の社会的責任(CSR)や付加価値としてではなく、ビジネスモデルそのものを転換し経営の軸に据えるという強い意志が表れている。

ECOMMITは、自社で回収・選別・再流通のインフラを持つ「循環商社」として知られる。今回CCOに就任した坂野氏は、日本初のゼロ・ウェイスト宣言を行った徳島県上勝町の廃棄物政策を担うNPO法人ゼロ・ウェイストアカデミーの元理事長であり、行政・企業・市民セクターを横断して循環型社会の構築に尽力してきた人物だ。坂野氏は就任にあたり、「あえて広義のサステナビリティではなく、当社の根幹である『サーキュラリティ(資源循環)』に特化した役職を置くことは、これを経営の軸として確立するという強い意志の表れです」とコメントした。

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実は、こうした循環経済を牽引するリーダーの必要性は、IDEAS FOR GOODを運営するハーチ株式会社でも注目してきた。2025年9月には台湾のサーキュラーエコノミーコンサルティング会社・REnato labと連携し、「Chief Circularity Officer(CCO)Leadership Program 2025」を開催した。これは、まさに今回ECOMMITが設置した「CCO」のような役割の重要性を提示し、企業内部から変革の土壌を育むことができる人材を育成するプログラムであった。

当時展開されたプログラムでは、サーキュラーエコノミーに関する国際規格「ISO 59000シリーズ」をベースに、日台の参加者が循環型事業開発のプロセスを学習。単なる知識の習得にとどまらず、自社のビジネスモデルを再設計し、社内外の分野を越境した循環を描くためのシステム思考を持つリーダーシップの涵養に焦点が当てられた。その後、実際に日本企業から正式にCCOが誕生したことは、循環経済が概念の普及フェーズから、実務的な経営実装のフェーズへと急速に移行していることを示唆するだろう。

ECOMMITによる日本初のCCO設置は、他の日本企業にとっても大きな刺激となるはず。今後、製造業や小売業をはじめとする多くの企業で、CSOに続き、あるいはそれに代わる形で「CCO」という肩書きを持つリーダーが生まれ、サーキュラーエコノミーへの移行が加速していくことが期待される。

【参照サイト】捨てない社会をかなえる ECOMMIT、日本初のCCO(Chief Circularity Officer/最高循環責任者)を新設し、坂野晶が就任|PR TIMES
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