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バイオダイナミック農法とは・意味

バイオダイナミック農法

バイオダイナミック農法とは

バイオダイナミック農法とは、オーストリアの哲学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した有機農法の一つ。農薬や化学肥料を使用せず、「星と月の位置関係」に基づいて作物を栽培する方法だ。ビオディナミ(Biodynamie)と呼ばれることもある。

バイオダイナミック農法では、自然が本来持つ力を引き出すことを主軸に置き、地球と太陽や月、惑星の位置関係を重視する。種まきや収穫、堆肥をまくなど栽培に必要な過程は、太陽暦と占星術に基づいた「農事暦」を用いてそれぞれタイミングを決める。加えてシュタイナーが編み出したハーブやミネラル、動物の角・糞などを調合した「調合剤」を土にまき微生物を増やすことで、上質な土壌から病気に強い豊かな植物が栽培・収穫できるとする。

世界で最も認証基準が厳しいとされるドイツのオーガニック認証機関Demeterも、バイオダイナミック農法を認証基準に採用している。

バイオダイナミック農法の主な事例

バイオダイナミック農法は、世界各地で実践されている。ここではいくつかの例を紹介する。

NGO Dirt(イギリス)

ファッションモデルで環境活動家でもあるアリゾナ・ミューズが立ち上げたNGO団体。バイオダイナミクス農法の普及を目指し、世界各地でバイオダイナミックに関わるさまざまなプロジェクトを立ち上げている。

Cafetal El Equimite(メキシコ)

「コーヒーの都」と呼ばれるベラクルス州コアテペックで、バイオダイナミック農法を実践するコーヒー農家。パーマカルチャーの理論も取り入れながら、持続可能なエコシステムを現地で確立し、社会環境的に健全なコーヒー農園を目指している。

バイオダイナミックファーム トカプチ(北海道)

トカプチは、バイオダイミックス農法を実践する日本でも数少ない一つ。北海道内4か所にある延べ370haの農場は、有機JAS認証を取得。米や古代小麦、ライ麦などの穀物、数十種類の在来種野菜などを栽培している。

バイオダイナミック農法のこれから

バイオダイナミック農法は高い評価を受ける一方、一般的な農法と比べて収穫量が少なく、収穫予測も難しいとされる。さらに哲学や占星術などが複雑に絡み合いスピリチュアルな要素も強いため、単なる農法ではなく思想に近いという意見もある。

しかし近年では、特にワインブドウの栽培でバイオダイナミック農法が注目を集めている。PRESTAGEによると、世界中の20か国以上の800を超えるワイン生産者が、バイオダイナミック農法を採用。世界有数のワインコンクールでもバイオダイナミック農法を採用したワイナリーのワインが高く評価されているという(※1)

また、バイオダイナミック農法の環境を再生するだけでなく、自然界にあるものを循環させながら植物を栽培する手法は持続可能性も高い。気候変動や人口増加による食糧危機など、農業の分野でもサプライチェーンの見直しや倫理的な生産、カーボンニュートラルなどが求められているいま、バイオダイナミック農法は今後より高い注目を集めていくだろう。

※1 James Suckling on Biodynamic Wines And Soulful Vintages

【参照サイト】Biodynamic farming is on the rise – but how effective is this alternative agricultural practice?
【参照サイト】Dirt
【参照サイト】Cafetal El Equimite
【参照サイト】バイオダイナミックファーム トカプチ

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