「つけ襟」で、一着を長く大切に着よう。Z世代発サステナブルファッション

Browse By

皆さんは、自分が買った服をどれくらいの間着ているだろうか。たとえ気に入って買っても、次のシーズンになると着なくなり、タンスの中に眠っている……そんな服があるという人も少なくないかもしれない。

日本で捨てられる衣料品は年間100万トン以上に及ぶと言われており、そのうち約74%が再利用されることなく処分されている。服1着を300グラムとすると、これは約25億着にあたる量だ。その中には、まだ着られるけれども、飽きたからという理由でごみになってしまう服も含まれるだろう。

衣料品の廃棄が引き起こす問題は、資源の無駄使いに留まらない。衣服は廃棄されてしまうと自然環境の中で完全に分解されることは難しく、地球温暖化を加速させるメタンガスを放出する。また、焼却しても燃やした分だけダイオキシンなどの有害ガスを排出してしまう。

今回は、このように廃棄され環境負荷となってしまう衣服を救うためにZ世代の女性がデザインした、リサイクルプラスチック素材のつけ襟をご紹介する。

つけ襟

(写真上)「margaret」、(写真下)「suzuran」

このつけ襟を製作したのは、アパレルブランドLtokyoのディレクターで22歳のインフルエンサー、ぷるこさんだ。新しく服を買わなくても、つけ襟を手持ちのアイテムに合わせることで新鮮さを生み出し、一着を長く着ようという提案である。テーマとして掲げる「I fall in love again」には、自分の服にもう一度恋に落ちるように、という願いを込めている。今回販売しているのは「suzuran」「margaret」のコンセプトを持つ2種類のつけ襟だ。

つけ襟の素材には、使用済みペットボトルや繊維くずを原料とする、帝人株式会社ECOPET®︎の生地を使用している。また、生産パートナーとして、100%国産にこだわる株式会社和興とも協働。さらに、限定数のノベルティポーチも、製作時の端材や、売れ残ってしまったリボンを使用するなど、循環型のものづくりを行う。

つけ襟

image via L tokyo

18歳でファッションブランドを立ち上げたぷるこさん。当初は精力的に活動していたが、売れ残った商品について、「セールをしても売れないなら捨てるよ。」とアパレル業界の先輩から言われショックを受けたという。それを機にサステナブルファッションにたどり着き、2年間ブランドを休止して、納得できる答えを模索し続けた。

そして、サステナブルファッションには、一着を長く大切に着る理念があると考え、つけ襟にポテンシャルを感じ、第一回目のコレクションとして製作。自身のブランドをリブランディングして臨んだ2021年4月30日からの先行販売では、わずか30分で予定数が全て完売。翌月の5月3日から、通常販売を開始している。

ぷるこさんはインフルエンサーとして、自身のYouTubeやインスタグラムでこのつけ襟を使ったコーディネートの例を多数紹介している。

着なくなった服を古着屋やメルカリなどのアプリで売ったとしても、いずれはごみとして廃棄される可能性があり、資源を永遠に循環させることは非常に難しい。
だからこそ、本当にごみを減らすためには、次々と新しい服を購入するのではなく、一着を大切にして、衣服の消費量そのものを減らすことが大事だと筆者は考える。

今回ご紹介したつけ襟は、“一着を大切に長く着ること”の楽しさに気づかせてくれる、良いアイデアだ。若い世代が発信するこのコンセプトが、さらに広まることを願う。

【参照サイト】「22才インフルエンサーぷるこの自社ブランド「L tokyo(エルトーキョー)」がサステナブルをコンセプトにリブランディング。ペットボトル素材の”つけ襟”を発売」
【参照サイト】 L tokyo
【参照サイト】 Princesspruko(Instagram)
【参照サイト】princess pruko(YouTube)
【参照サイト】独立行政法人 中小企業基盤整備機構|「繊維製品3R関連調査事業」報告書

Edited by Motomi Souma

FacebookTwitter