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フィールドラーニングとは・意味

フィールドラーニング

フィールドラーニングとは?

フィールドラーニングとは、教室外のフィールド(地域の現場)を主な学習の場として、課題発見能力、課題探求能力、プレゼンテーション能力、コミュニケーション能力、行動力、社会性などの力を総合的に学ぶ教育方法のこと。同義で用いられる用語として、「フィールドスタディ」がある。

フィールドラーニングは、2016年に山形大学が類似語である「フィールドワーク」と区別するための新しい学術用語として提案した。

フィールドワークとの違いとは?

山形大学 教育開発連携支援センターの小田隆治氏は、フィールドワークとフィールドラーニングを区別する理由として、2017年の山形大学高等教育研究年報 第10号で「現地体験型学習を大学教育、とりわけ教養教育のカリキュラムの中にしっかりと位置付け」ていくためだとしている。

フィールドワークとフィールドラーニングは、学校の教室やオフィスではなく、地域が学習の場となる点ではどちらも同じだが、下記のような違いがある。

学習領域の違い

フィールドワークとフィールドラーニングの違いについては、山形大学 教育開発連携支援センター 小田隆治氏が、2017年の山形大学高等教育研究年報 第10号に掲載された『大学教育におけるフィールドラーニングとアクティブラーニング再考』で発言している。

フィールドワークが専門教育において実施される体験型学習を指すのに対し、フィールドラーニングは主に教養教育において採用される体験型学習を指す。

フィールドワークは、学問固有の観察法や調査方法といったスキルを専門的に習得することを目指している。それに対しフィールドラーニングは特定の学問やスキルの習得ではなく、総合性と独自性に重きを置き、フィールドでの体験を通して個々人が独自に思考を深め、課題発見能力を養うことを目的としている。

学習過程の違い

またもう一つの違いとして、山形大学教育開発連携支援センターの阿部宇洋氏は、山形大学高等教育研究年報 第12号に掲載された『フィールドラーニングとフィールドワークの差異と民俗学への応用 』で下記のように述べている。

フィールドワークは学問によって形式が多様だが、民俗学におけるフィールドワークは一般的に課題を先に設定し、その研究のために地域に入って情報収集を行う。それに対し、フィールドラーニングは地域に入って体験することで課題を発見・探究するという特徴があるという。

またフィールドワークは地域に入ってから課題解決のための情報がある場所や話者を独自に探す必要があるが、フィールドラーニングは地域の人や講師など、プログラム内ですでに話者が設けられている場合が多い。

また、山形大学ではフィールドラーニングを学部専門で学ぶフィールドワークの入門編と位置付けている。地域で動く(ワークする)前に、地域で学ぶ(ラーン)することが重要だとしているのだ。

フィールドラーニングの主な工程

フィールドラーニングは基本的に個人ではなく、プログラムを通してグループで学習を行う。

学習の工程としては、まず事前学習としてプログラム参加に必要な情報の収集や共有を行ってから地域活動に入る。

その後、実際に地域に赴き、地域の人や講師に話を聞いたり、地域活動に参加したりしながら課題を発見・観察し、気づきや学びを記録する。

次に地域での活動を終えたら、事後学習として得た知見や考察をレポートなどにまとめ、地域の人や講師に活動報告を行う。

フィールドラーニングの実施例

山形大学は平成16年度から山形県内陸部の最上地域全体をキャンパスとして教育・研究・地域貢献を展開する「エリアキャンパスもがみ」を運営しており、教養教育の一環として「フィールドラーニング-共生の森もがみ」を実施している。

エリアキャンパスもがみは過疎化が進む山形県最上広域圏の8市町村と協定を結び、最上地域における教育の発展と地域振興に資することを目指して設立された「ソフト型キャンパス」である。

2022年度は連携する8市町村にある施設を活用して、各2日間で8つのフィールドラーニング・プログラムが実施された。その一例が以下である。

十日市復活-未来のウォーカブル街づくりについて考える-

山形県新庄市の都市経営課題の一つである「車中心の都市政策」に対する取り組みとして、万場町というエリアでかつて開かれていた「十日市」を復活する地域の取り組みに参加するプログラム。

プログラムでは地域の歴史について学んだり、町内を見学したり、町民と交流を行ったりしながら計画を立て、翌日は実際に十日市に参加するというものだ。

プログラム参加を通して、未来の商店街のあり方や魅力について考えることを目指して行われた。

子どもの自然体験支援講座

山形県真室川町で行われる「めんごキャンプ」、「わんぱく探検隊」といった子どもの自然体験活動にスタッフとして参加し、支援を行うプログラム。

体験活動を通した子どもの変容を観察することなどにより、自然体験活動の意義や、よりよい支援のあり方を考えることを目的に実施された。

人と自然と地域をつなぐ環境保全活動

絶滅危惧種などの希少な動植物が自生する山形県鮎川町の里山で、鮭川村自然保護委員会の人々から環境保護活動について学ぶプログラム。

実際に自然調査や保全活動を体験することで、生物多様性と地域の関わりを学ぶことを目指して行われた。

まとめ

近年、フィールドラーニングのように専門教育におけるフィールドワークとは違ったかたちで地域に出て学ぶ機会は増加傾向にあるという。

こうした学習方法は将来の専門教育で必要となる基礎的な力を養うだけでなく、グローバル化やテクノロジーの発展などによる社会変化が激しい時代において、社会や自然との関わり方、自己実現のあり方を学ぶ上でも重要となるだろう。

フィールドラーニングを行う際は学ぶ側の一方的な学習意思だけでなく、受け入れてもらう地域や自然を尊重し、互いに信頼関係を築き関わり合っていく姿勢を忘れてはいけない。

【参照サイト】山形大学 エリアキャンパスもがみ
【参照サイト】フィールドラーニングとフィールドワークの差異と民俗学への応用
【参照サイト】大学教育におけるフィールドラーニングとアクティブラーニング再考
【参照サイト】フィールドワーカーへの一歩
【参照サイト】令和4年度 基盤共通教育集中講義 フィールドラーニング -共生の森もがみ プログラム案内
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