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強制労働

強制労働とは

強制労働とは?(What is Forced labor?)

強制労働とは、会社や工場、親族など他者から強要された労働のことを指します。もともと労働を望んでいない人々への身体的・精神的な暴行や、脅迫などと共に行われるほか、人身売買や児童労働と関係することもあります。いずれにせよ、人権を侵すため国際法では禁じられています。

強制労働の代表的な例としては、インディオの強制労働監獄部屋や、労働者を長期間 身体的に拘束して行われたタコ部屋労働(監獄労働)、ナチスドイツのユダヤ人強制収容所内における労働などが挙げられます。

強制労働になるものと、ならないもの

1957年、ILO(国際労働機関)によって採択された『強制労働廃止条約(第105号)』によると、「強制労働」という用語には次のものが含まれるといいます。この条約に批准(同意)する国は世界で170カ国以上ありますが、日本や中国、韓国などは2017年時点で批准していません。

強制労働に含まれるもの
この条約を批准する国際労働機関の各加盟国は、次に掲げる手段、制裁又は方法としてのすべての種類の強制労働を禁止し、かつ、これを利用しないことを約束する(第105号 強制労働の廃止に関する条約 第一条)。

  • 政治的な圧制もしくは教育の手段、または政治的な見解もしくは既存の政治的・社会的もしくは経済的制度に思想的に反対する見解を抱き、もしくは発表することに対する制裁
  • 経済発展の目的のために、労働力を動員、及び利用する業務またはサービス
  • 労働規律の手段としての業務またはサービス
  • 市民がストライキに参加したことに対する制裁
  • 人種的、社会的、国民的又は宗教的差別待遇の手段

一方、1930年に採択された『強制労働ニ関スル条約(第29号)』には、「強制労働」という用語には次のものを含めてはならないとあります。

強制労働に含まれないもの

  • 軍事的性質にのっとり、強制兵役法により行われる業務またはサービス(徴兵制度など)
  • 完全自治国家において、市民の義務とされるいかなる業務またはサービス
  • 当該業務が公的機関の監督および管理の下で行われ、当該人物がどこかの会社や団体に雇用されていないことを条件として、裁判所での有罪判決の結果として行われる業務またはサービス
  • 緊急時の業務またはサービス:火災や洪水、飢饉、地震などの自然災害、感染病や戦争など、人口の全体または一部の存在または大部分の幸福を危険にさらすようなあらゆる状況
  • 当該人物がコミュニティ(共同体)に属する場合、コミュニティの利益のため“メンバーの義務として”実行される限定的な業務またはサービス。コミュニティ代表者は、業務の必要性に関して相談する権利を有するものする。

数字で見る強制労働(Facts & Figures)

世界で行われる強制労働の現状に関する数字と事実をまとめています。

  • 世界では、現代でも約2490万(1000人に4~5人)の強制労働者がいる(ILO
  • 上記の数字のうち、労働者はアジア太平洋地域に1170万人(56%)、アフリカに370万人(18%)、ラテンアメリカ で180万人の犠牲者(9%)、EUに 150万(7%)、中央および南東ヨーロッパ諸国、ならびに独立国連邦に 160万(7%)、中東に推定60万人(3%)いる(ILO
  • 人口1000人当たりの被害者の数は、中央および南東ヨーロッパ、そしてアフリカ地域で最も高く、1000人あたり4.0~4.2人(ILO
  • 強制労働の内容は、1600万人が家事労働、建設、農業などの民間部門。480万人が性的搾取(セックスワーカー)、および400万人が当局によって課される労働(ILO
  • 強制労働による利益を一番出しているのはアジア太平洋地域。年間約51億8000万米ドル(ILO
  • 「現代奴隷(自らの意志に反して拘束され、奴隷状態にある人々)」は、世界で約4030万人いる。そのうち2490万が強制労働者、1540万人が強制結婚させられている(The Global Slavery Index
  • 現代奴隷制度の被害者のうち、71%が女性と子供(The Global Slavery Index
  • 現代奴隷制度の被害者の4人に1人は子供である(The Global Slavery Index

奴隷制度はとうの昔に終わったものと思われがちですが、いまでも世界で現代奴隷が横行していることがわかります。日本では、法的には禁止されているものの、従業員の自由を奪い、搾取するブラック企業や、子供を脅して強制的に働かせる親など、実質「強制労働」をさせている人々もいます。

強制労働が存在する原因(Causes)

強制労働が横行している原因はさまざまですが、主な原因としては下記が挙げられます。

  1. 地域や家庭の貧困
  2. 人種や宗教など、特定のアイデンティティに対する差別意識
  3. 強制労働をさせる側、またはされられる側の人権教育の欠如
  4. 自治体、または国による規制の欠如
  5. 企業サプライチェーンの透明性の欠如
  6. 不健全な企業文化によるコスト削減

強制労働がいまだ存在しているのは、需要があるからです。まだ若く、社会人経験もなく、人権に関する十分な教育も受けられていない人は「労働者」として適しており、立場も弱くて逆らってこないため、ハードワークをさせても賃金が安くすむ。現代奴隷の71%が女性と子供であり、4分の1が子供であることも、これに起因しています。

また、法規制がしっかりと機能していない国や地域、企業でも強制労働は起こりやすいです。

児童労働

強制労働はなぜ問題なのか?(Impacts)

強制労働はなぜ問題なのでしょうか。主な理由としては下記が挙げられます。

  1. 人権の侵害
  2. 望まない労働による過労死や、セックスワークによる性病感染などの労働災害
  3. 企業文化の腐敗

強制労働はりっぱな人権侵害です。しかしそれでも、コストが安いからと企業として強制労働を見て見ぬふりをすると、多くの労働者が亡くなることになってしまったラナ・プラザ崩落事故(ダッカ近郊ビル崩落事故)のような事件が起きることがあります。

この事件では、死者1,127人、行方不明者約500人、負傷者2,500人以上が出ており、そのほとんどは私たちのよく知るファッションブランドの縫製工場で働いていた人々でした。安全が確保されない劣悪な環境で、事故当日も強制的に働かされていたことから、事故後には世界中から該当ブランドへの批判が殺到。強制労働を見過ごすことは、企業としての価値を下げることにもつながりかねません。

強制労働への対策に関する国際団体(Organization)

強制労働への対策に関する国際的な団体としては下記が挙げられます。

強制労働問題を解決するアイデアたち(Ideas for Good)

強制労働を食い止めるために、私たちができることは何でしょうか?

IDEAS FOR GOODでは、最先端のテクノロジーやユニークなアイデアで強制労働の問題解決に取り組む企業やプロジェクトを紹介しています。

【参照サイト】Statistics on forced labour, modern slavery and human trafficking
【参照サイト】1957年の強制労働廃止条約(第105号)

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