自分の生活がどれだけ現代奴隷に支えられているかが分かる「Slavery Footprint」

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もし「あなたは今、64人の人を奴隷として働かせている」と言われたら、どう感じるだろう。他人にそんなひどい扱いをした覚えはない、と誰もが思うのではないだろうか。

奴隷と聞くと、歴史の授業で習ったアメリカ南北戦争の奴隷や、その他のおぞましい扱いで虐げられた過去の人々と思うかもしれない。しかし実は、今でも「現代奴隷」が存在し、社会問題となっている。現代奴隷とは、強制労働や人身売買、性的搾取、強制結婚などをさせられている人たちのことで、世界に約4000万人いるといわれる。調査によると、そのうちの約7割は女性で、子どもも25%含まれている(※1)

そして私たちは、さまざまなモノを消費することによってこの現代奴隷問題とかかわっている。私たちが普段何気なく着ている服や、食べているチョコレートなどの生産の過程では、多くの人が過酷な労働を強いられているのだ。とはいえ、なかなかピンとこないのが正直なところ。そこで今回は、「Slavery Footprint(奴隷フットプリント)」と呼ばれるウェブサイトを紹介する。私たちが日常の選択を通して、どれほどの数の現代奴隷を働かせているかを教えてくれるサイトだ。

仕組みはいたって簡単だ。まずは、自分のライフスタイル情報(住んでいる場所や年齢、性別など)を選択。続いて、家族構成や日頃どのようなものを食べているか(肉・魚・野菜・穀物の割合)、衛生用品の使用状況、宝石や家電製品、スポーツ用品、服の保有状況を入力する。

普段食べているものを入力するページ

普段食べているものを入力するページ

持っている宝石の種類と数を入力するページ

持っている宝石の種類と数を入力するページ

すべて入力し終わると、普段どれだけの人を奴隷状態で働かせていることになるか、クリック一つで計算してくれる。筆者の場合は64人。ミニマムライフを心がけているつもりでもこの多さだった。

このサイトの発端は、2008年に人身売買の問題を告発するドキュメンタリー「CALL +RESPONSE」を制作したジャスティン・ディリオンさん。映画をみた米国国務省から、「個人が現代奴隷を自分ごと化できるよう、映画の話を発展させられないか」と打診があった。そこで、米サンフランシスコのNGOであるMaid in a free worldと共にウェブサイトを開発。ILO(国際労働機関)などが発表する情報をもとに、よく使われる日用品を中心に400点以上の製品でどれほど強制労働が横行しているか調査した。

そして、各製品で最低何人の現代奴隷が働いているか、アルゴリズムを用いて計算。最終的には、一個人の消費スタイルに合わせて数字が出るようシステム設計を行った。2011年9月にオープンしたところ、大反響で日本を含む200カ国以上からアクセスがあったという。

現代奴隷の問題については国際的にも注目されており、2017年ドイツで行われたG20サミット以来、連続して取り上げられている。オーストラリアは2019年1月に、そして英国では2015年3月に現代奴隷法を制定し国をあげてこの問題に取り組んでいる。この問題は日本も例外ではない。オーストラリアのNGOウォークフリー財団の調査によると、日本でも29万人もの人が現代奴隷の状態にあることが指摘されている(※2)

複雑なサプライチェーンが引き起こす問題だけに、一個人として現代奴隷の問題に取り組むのは難しいと思うかもしれない。しかしまずは、このウェブサイトで自らのライフスタイルが与えている影響を知ってみてはいかがだろうか。

※1 2016,GLOBAL SLAVERY INDEX, HIRIGHTS
※2 2017,GLOBAL SLAVERY INDEX,DATA

【参照サイト】Slavery Footprint