従業員を幸せにする、世界の「働き方改革アイデア」10選

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人が生きていく上で必要な活動の一つに、仕事がある。自分の生活の糧を得るために、家族を支えるために、社会にインパクトを与えるために、人は多くの時間と労力を仕事に費やす。

日本人の大半は会社に就職するが、働いていくうちに、仕事がストレスになってくることもあるだろう。環境が合わず、精神的・肉体的に思い詰められてうつ病になってしまう人や、体を壊してしまう人、さらには自死を選ぶ人もいる。

そんな選択をさせてしまうことは、従業員にはもちろん、会社にとっても悪いことでしかない。どうしたら、健康で幸せな働き方ができるのだろう。本記事では、そんな働き方のアイデアを10つ取り上げる。「ぜひ、うちの会社に導入したい、してほしい」と思うものがあるかもしれない。

本当の「働き方改革」に必要な考え方

働き方改革とは、これまで日本の企業で当たり前とされていた「長時間労働」「正規・非正規の処遇の差」「ひとつの会社での終身雇用」などの労働環境を大幅に見直すこと。働き方が多様化し、これまで働けないと思われていた人たちが活躍できる現代では、変えなくてはいけないルールも多い。

ただ、会社が「働き方改革」と題してノー残業デーをつくったり、プレミアムフライデーをただ導入したりするだけでは意味がない。導入の前に、まずは従業員が何を求めているのかを理解し、会社としてなぜ新しい制度を導入するかというパーパス(目的)を繰り返し伝えていかなければならないのだ。従業員に理解を得られないルールは、浸透せず支持も得られない。場合によっては、業務の妨げになることすらある。

大切なことは、従業員の声を聞き、働き方の「持続可能性」に重きを置くことだ。この持続可能性とは、ひとつの企業で長く働いてもらうことを意味するのではない。このやり方で無理せず、心身ともに健康的に従業員が働いていけるのかどうかを意識するということである。働き方の持続可能性を改善することは、会社へのエンゲージメント率を上げ、仕事でも高いパフォーマンスを発揮してもらうことにつながる。具体的な事例を見ていこう。

働き方改革に関する10つのグッドアイデア

01. 一人ひとりがカスタマイズできるグループデスクの用意

もっと健康で、スマートな働き方を。従業員一人ひとりがカスタマイズできるデスクが登場

スペインのERGON DESK社が提供する、イノベーティブな作業用デスク。丸いピザを6等分したような形で、チームのメンバー同士が向かい合う形となるため、ちょっと上司に何かを確認したいというときや、各プロジェクトの進捗状況の共有をするときなど、席を立たずとも、チームメンバーとのアイコンタクトや会話が可能になる。

また、従業員の身長や姿勢にあわせ、それぞれのデスクの高さを自分で調節できる。たとえば座っていることに疲れたら、立って作業をしてもいいのだ。

02. 従業員の健康をアプリで支援するスマートオフィス家具を置く

進化するハーマンミラー。アプリで従業員の健康を支援するスマートオフィス家具


こちらも、長時間座ったまま作業をしている人に向いているアイデアだ。

オフィス家具で知られるハーマンミラーのIoTセンサー付きのオフィスデスクは、専用のアプリでデスクを利用する従業員のデータを取得し、姿勢をよくするよう促してくれるほか、従業員の健康状態を記録・管理し、作業効率を高めてくれる。

03. 「15分限定の会議室」で無駄なミーティングをなくす

最高の決断は、素早く行われる。ディーゼルが開発した15分限定の会議室


ついつい長くなってしまうミーティング。ディーゼルは、同社の創始者Renzo Rosso氏の「私が今までに下した最高の決断は、素早く決めたものだった」という言葉にインスパイアされた、15分限定でつかえる会議室“The Cupsule”を開発した。

中は居心地が悪く、時間が経つにつれ会議室に施された色々な仕掛けが発動する。従業員の働く時間を奪う無駄なミーティングを減らし、効率よく結論を出すというアイデアだ。

04. 自転車で通勤したらボーナスを与える

社員の健康と収入アップを両立。自動車に乗れば乗るほど手当がもらえるアプリ「ByCycling」


「自転車で通勤したら現金ボーナス、または有給休暇がもらえる」そんなアイデアがあったら素敵ではないか。オランダでは、環境への負担を軽減し従業員にもインセンティブを与えるため、大企業向けに「ByCycling」というアプリが開発された。健康的で、お財布にもうれしい持続可能なアイデアだ。

05. 新入社員の「入社1日目」を最高の日にする

人手不足に悩む企業へ。新入社員の「入社初日」をもっと良くするソフトウェア


新入社員にとって、入社初日の印象はその後働くモチベーションに大きくつながる。働いている人たちと合わない、ケアされていないなどと感じると、早くも辞めたくなってしまってもおかしくない。

そこで登場したのが、新入社員のオンボーディングをもっと簡単に丁寧にできるソフトウェアだ。ウェルカムメールなど必要なメールをテンプレート化、研修のスケジュール調整、事務作業の割り振り、個別の進捗把握といった作業を一括して行うことができるので、たとえ忙しいときでもしっかりと新入社員をケアできる。

06. あらゆるハラスメントを告発しやすくする

職場でのハラスメント撲滅へ。ブロックチェーンを利用して人事部に“告発”できるプラットフォーム


イギリスで生まれた「Valut」は、職場でのパワハラ、セクハラ、マタハラなどのハラスメントの被害をブロックチェーン上に安全に記録できるサービスだ。そして告発する決意が固まったとき、速やかに人事担当にコンタクトを取り、その記録を提出することができる。

一人ではどうしても告発する勇気が出ない場合もあるだろう。そんなときは、他の従業員が自分と同じ相手から被害を受けている記録を作成した際にそれを感知し、知らせてくれる機能が後押ししてくれる。

07. AIで「うつになりそうな社員」を見つけ、早めにケアする

あなたの会社は変われるか。AIが「ウツになりそうな社員」を見つけ出す時代


マサチューセッツ工科大学(以下、MIT)の研究者たちが、うつを判断できるテクノロジーの開発を進めている。ニューラルネットワークを活用したAI(人工知能)が、うつ病患者に多い特徴から、うつ病患者の早期発見するのだ。これまで自己申告に頼りがちだった企業のメンタルヘルス対策を大きく進めるだろう。

08. 王道!リモートワークを導入する

働き方と地球をサステナブルに。リモートワークが環境負荷を減らす3つの理由


リモートワーク(テレワーク)を導入したいが、いまいち自分の会社にとってのメリットがわからないという人もいるだろう。リモートワークは、従業員の健康的な働き方を促進すると同時に、会社が出す「二酸化炭素排出」「電力消費」「ごみ」の三つを削減するのだ。リモートワークによってこれらを削減していると上手くプロモートすれば、会社の社会的な評価にもつながる。

09. 「未知の体験」に会社がお金を出す

待遇もモノからコトへ。アメリカ企業が社員の未知の体験に1,500ドル


毎日会社で長く働いてお金をたくさんもらうよりも、自分のために使える休暇が欲しい。そんな価値観が広がってきたいま、アメリカの会社Qualtricsは、従業員に対して「普通じゃできない体験」のために従業員に毎年1,500米ドル(約16万円)を手渡しているという。

お金を使う内容は、従業員が自由に決められる。たとえばガラパゴス諸島でサメと泳いだり、万里の長城を歩いたり、フィリピンの子供に本を送ったりと、普通に働くだけではできない自分だけの体験をすることで、経験値を上げ、働くことに対する満足度も上げるシステムだ。

10. 従業員同士がフラットに評価しあえるシステムをつくる

社員同士が感謝の気持ちと報酬を送りあう「ピアボーナス」。日本発のUniposがつくる、新しい評価の形


会社の上層部だけが従業員の評価をする時代は終わった。日本のFringe81社が提供する「Unipos(ユニポス)」というサービスは、従業員同士が互いに日ごろの行動を評価し、チャットツールを使ったメッセージと共に少額の成果給を送りあえるシステムである。

「このアドバイス、とてもタメになったよ」「プレゼン資料を見やすくつくってくれてありがとう」「社内をキレイに保ってくれて助かってるよ」など、画一化された査定や、給与体系で見落とされがちな日々の努力を、身近な同僚同士でことあるごとに労い、お互いの信頼関係をより強いものにするのだ。

まとめ

働き方に悩む多くの人々にとって、参考になるアイデアはあったただろうか。これらはいずれも抜本的な改革ではないが、従業員の健康と幸福がよく考えられている。

1日の時間の大半を占める仕事を充実させることは、人生を充実させることにもつながると言ってもいい。働き方改革は、一個人と企業の両方にとって重要なのだ。人も企業もそれぞれ個性があり、向いている働き方がある。働き方は、10人いたら10通りあって良いのではないだろうか。

上述した通り、これらの働き方改革はトップダウンで実行しても意味がない。なぜこれをやるのか、これをやることで会社と従業員にどんなメリットがあるのかなど、パーパスを伝え、合意を取りながら改革していこう。自分にピッタリの働き方を見つけて、経済的にも健康的にも持続可能な生活を送ってほしい。