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「もう一度使う」が未来を創る。プラスチックと上手に向き合う社会をつくる住友化学【高校生が出会ったサステナ企業・団体】

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女の子がゴミを捨てる

Image via shutterstock

この記事を執筆したのは、広島の「高校生たち」である。

未来を見据えた高校2年生たちが、さまざまな生き方を知り価値観を広げ、自分らしさを問う探求学習「わたしプロジェクト」。その一環で生徒たちは2023年に広島から東京を訪ね、ワクワクするようなサステナブル事業に取り組む企業・団体に足を運び、自ら取材を行った。

高校生たちはそこで何を学び、何を感じたのだろうか。

※以下、広島の沼田高校2年の生徒による記事となります

「ごみ・プラスチック問題」のテーマで訪れたのは……

私たちが訪問したのは、住友化学株式会社です。住友化学株式会社は、私たちの生活を支える様々な製品を研究、開発、そして製造している会社です。自動車の軽量化材料、食品ロスの削減に資する食品包装材料、水族館の巨大水槽の素材などを取り扱う「エッセンシャルケミカルズ部門」では、日本、サウジアラビア、シンガポールを主要な製造拠点とし、それぞれの拠点の強みを生かして、世界100か国以上へ製品を販売しています。

取材では、コーポレート部門でSYNERGYCAのダイレクターであるクナップ カルロスさん、炭素資源循環事業化推進室部長である野末佳伸さんにお話を伺いました。

資源循環にかかるコストはどのくらい?

Q. リサイクルされたプラスチックは、例えば古紙のように、以前のものと比較して品質が落ちたりはしないのでしょうか?

リサイクルには、ペットボトルを回収し、溶かして再利用するような「マテリアルリサイクル」と、化学反応によってプラスチックが生まれる前の状態にもどす「ケミカルリサイクル」があります。「マテリアルリサイクル」は品質が低下する可能性があるので、衛生面で懸念の少ない別のものに生まれ変わらせることもあります。ケミカルリサイクルは、プラスチックが生まれる前の成分まで戻すので、リサイクル品といえども新品同様の品質を保っています。一方で、マテリアルリサイクルに比べてケミカルリサイクルは手間がかかる分、コストの増加や温室効果ガス排出量が増えてしまうなどのデメリットがあります。

Q. 現在、プラスチックをごみで出すときに、汚れが残った状態で捨てられているものも多いと思います。もし廃棄されるプラスチックが100%きれいな状態で分別されていたとしたら、資源循環にかかるコストはどのくらい低減するのでしょうか。

石油で一から作るプラスチックと、リサイクルして作られるプラスチックでは、リサイクルの方がコストがかかります。しかし、同じリサイクルでも「きれいなプラスチック」からリサイクルするのと「分別されていないごみ」からリサイクルするのでは、ごみからのリサイクルの方がさらにコストがかかります。その下げ幅はケースバイケースなので、一律にどれくらいというのは難しいのですが、多くの場合、今のプラスチックより値段が高くなると思われます。

Q. 最近、レジ袋有料化や紙製品への置き換えがよくみられるようになりました。この取り組みのように、プラスチックは「なるべく使わない」ことが正しい理解なのですか。

プラスチックの代替手段が本当に地球に優しいのかは冷静に検討しなければなりません。何よりも、プラスチックは便利な素材です。我々の日常生活で「エッセンシャル(必要不可欠)」な素材ですから、今後も使い続けるために、ごみの削減やプラスチックの分別・回収・リサイクルを徹底することが大切になります。

お話を聞いている様子

お話を聞いている様子

プラスチックは、上手に活用することが必要

ケミカルリサイクルにより、結果として温室効果ガス排出量が増えてしまうと、地球温暖化が進むことにもなります。したがって、企業訪問の前は、マテリアルリサイクルに中心を据えて進めていくべきなのかと思っていました。しかし、再生するモノによってはケミカルリサイクルでなければならないということも理解できます。品質が落ちてしまうというデメリットを克服するのは、難しい問題だと感じました。

また、きれいな状態で回収したとしても、0から作るよりもコストがかかることに驚きました。一方で、コストが高くなってしまうのになぜリサイクルをする必要があるのかとも思いました。石油からプラスチックを作る方がコストは抑えられますが、プラスチックがどんどん世の中に増えていってしまうため、環境のことを考えて、コストを割いてでもリサイクルするのだと学びました。

また、プラスチックを減らすことだけが必要だと思っていたのですが、そうではなく上手に活用することが大事だとわかりました。そのためには、正しい分別やリサイクル方法を身につけることが必要であり、コストと資源の枯渇の両方を考慮した上で、資源を大切に使うことがなにより大切だと考えました。

見学の様子

見学の様子

世の中が、何を考え何を求めているのかを考えることが大切

事業のことだけではなく、私たちはお二人に、「働く上で、大切にされていることはなんですか?」という質問をしました。

「会社の方向性だけではなく、世の中が何を考え何を求めているのかを考えることが大切です。その上で、その1日で、会社と社会に『何を』『どのくらい』貢献できるのかを常に考えて働いています。また会社内のチームコミュニケーションもとても大切にしています。何か分からない事があれば相談し、アドバイスをもらっています。なぜならそれが、常に自分を向上させる勉強にもなるからです」

これらのお話を聞き、チームで働く以上、分からないことがあったらすぐに相談したり、些細なことでもコミュニケーションを取ることが重要なのだと知りました。企業では、「報告」・「連絡」・「相談」いわゆる「ほうれんそう」が大切にされているのだと感じました。仕事の内容では、会社の方向性だけでなく、世の中は何を求めているのか、世の中に何が必要かを考えており、客観視しているからこそよりよいアイデアが生まれるのだと思います。

お話を聞いている様子

お話を聞いている様子

取材を通して

今回の取材では、「高校生である私たちに何ができるのか」ということに注目してお話を聞きました。会社だけの取り組みだけで世界を変えることには限界があると思います。しかし、会社を超えて世の中の一人一人が自分事として考え、それを行動に移すということが重要で、高校生なりの社会貢献もそのひとつだと思います。また「プラスチックはなるべく使わない」のが正しいのではなく、「今後も使い続けるために適切に分別すること」が正しい理解であり、プラスチックは私たちの生活の中で必要不可欠だからこそ分別して再利用したり、正しい捨て方で環境を守ることが大事だということが知れたことによって分別の大切さが分かりました。ごみの分別の徹底、効率的なリサイクルのために「ごみを洗う」ことにも取り組もうと思いました。分別が再生のコストを下げるということを改めて理解したからです。高校生として、少しでも貢献していきたいです。

リサイクルや環境問題についての正しい知識を身につけるために、学校の授業の一環としてプロフェッショナルからお話を聞く機会を設ける必要があるのではないかと思います。一人一人が自分ごととして行動に移すためには、正しい知識と理解が不可欠だからです。

執筆者:広島市立沼田高校2年 河本彩葉、岡上侑佳、岸駿真、岡田柑花、松本輝花、丸山彩花、佐々木小蒔、福本未夢、岡亜矢野、川西千都、酒井遙、山﨑苺香、森木優来、小田頼弥、吉田侑紀那、茶堂澪、入江菜穂、眞志田りこ

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