世界中で広まりつつあるシェアリングエコノミーの代表格と言えば、個人同士が自由に部屋を貸し借りできる民泊プラットフォーム、Airbnbだ。
一般的に、自宅の空き部屋を活用する「民泊」はホテルに宿泊するよりも環境負荷が低く、より環境に優しい宿泊スタイルだ。民泊のほとんどは個人の自宅であり、ゲスト一人あたりの電気や水の使用量、廃棄物の量などがホテルよりも圧倒的に少ないためだ。
実際にクリーンテック・グループが実施した調査によると、北米でAirbnbを利用するゲストは、ホテルのゲストと比較して63%もエネルギー使用量が少ないという。
このように、ただでさえ従来の旅行よりも環境に優しい民泊という新しいスタイルを世界中に提示しているAirbnbが、さらにグリーンな民泊体験を推進するべく、新たな取り組みを打ち出した。
Airbnbは10月中旬、テスラグループの太陽光発電事業者、SolarCityとのパートナーシップ締結を公表した。その内容は、Airbnbホストが新たに自宅に太陽光パネルを設置した場合、設置費用のうち最大1,000米ドルをキャッシュバックしてもらえるというものだ。
SolarCityが操業している地域のAirbnbホストが対象で、払い戻し金額は2017年3月までは1,000米ドル、それ以降は750米ドルとなるとのことだ。太陽光パネルの設置やメンテナンス、設置に伴う融資などは全てSolarCityが支援する。
この仕組みによりAirbnbホストの多くが太陽光パネルを導入すれば、ゲストはさらに環境に優しい旅をすることができるようになる。また、メリットを受けるのはゲストだけではない。ホストは太陽光パネルの設置により自家発電ができれば、そのぶん電気代を節約でき、ホストとしての収入を増やすことも可能となる。
さらに、太陽光発電で電気を賄う部屋に泊まったゲストがその良さを肌で体験し、自宅でも太陽光パネルを導入しようとするかもしれない。「太陽光で電力を賄う家の暮らし」という体験がAirbnbを通じてグローバルにシェアされることで、さらに取り組みの輪が広がる可能性があるのだ。
AirbnbとSolarcityという2社の提携により、シェアリングエコノミーが社会にもたらす価値はさらに大きくなりそうだ。今後の取り組みの広がりに期待したい。
【参照サイト】Airbnb Partners With SolarCity to Bring Solar Energy to the Home Sharing Community