インドのスタートアップが開発した、環境に優しい「食べられるビニール袋」

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今、世界で最も深刻化している環境問題の一つ、それが廃棄プラスチックによる環境汚染だ。循環型経済を推進するエレン・マッカーサー財団が昨年1月のダボス会議で公表したレポートによると、現在世界ではプラスチック製の包装容器の95%が1回使用されただけで廃棄されており、その経済的損失は年間800~1,200億米ドルにも上っている。

また、このうち海洋に廃棄されるプラスチックの量は少なくとも年間800万トンにのぼり、2025年までには魚3トンにつき1トンの比率まで、2050年にはなんと魚の数を上回ってしまうという。

この深刻な現状を改善するべく、技術改良や製品開発、法規制の強化など世界中で様々な取り組みが進められている。

廃棄後は自然界の微生物によって最終的に水と二酸化炭素に分解され、環境に悪影響を及ぼさない生分解性プラスチックの開発はその筆頭だし、スポーツアパレル大手のアディダスは海洋廃棄プラスチック素材と3Dプリンティング技術を活用したシューズを発表して話題を呼んだ。

また、各国政府や自治体の動きに目を向けてみれば、アメリカのカルフォルニア州が2014年10月にプラスチックレジ袋を禁止する法律を全米で初めて制定し、翌年7月から施行しているほか、欧州ではフランスが昨年7月から使い捨てプラスチック製レジ袋の利用を禁止する政令を施行し、2017年からは生鮮食品包装用などレジ袋以外の袋にも同政令の拡大適用が始まっている。

このように廃棄プラスチックの問題の解決に向けて世界が前進しているなか、新たにインドのスタートアップ企業「EnviGreen」がユニークな製品を開発した。

同社の創業者、Ashwath Hedge氏が4年の歳月をかけて開発したのは、100%生分解性のオーガニックな「食べられる」プラスチック袋だ。ウェブサイトには実際に昆虫らがこのプラスチック袋を食べる動画も公開されていた。

このプラスチック袋、見た目は普通のポリエチレン袋と相違ないものの、バナナや植物油、さとうきび、タピオカ、トウモロコシなど12種類の原材料からできており、バックだけでも約3ヶ月で自然に分解され、水を使えば1日で、沸騰したお湯であれば数秒で分解することが可能だという。既にインド、アブダビ、カタールの一部の小売チェーンで試験導入が始まっているとのことだ。

インド政府によれば、現在インド国内では毎日15,000トンものプラスチックが廃棄されており、そのうち6,000トンは収集さえされていないという。Hedge氏はこの深刻化するプラスチックごみ問題に、環境に一切負荷をかけない革新的なプラスチック袋の開発と普及を通じて一石を投じようとしている。今後のさらなる展開が楽しみだ。

【参照サイト】EnviGreen

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