フードロスから車のパーツが誕生。バイオプラスチックの可能性広がる

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現在、世界で生産される食料のうち3割以上が食べられることなく破棄されており、その中には効率化のために余剰となってしまった農作物も多く含まれている。

EU圏内のサーキュラーバイオエコノミーを加速させるために発足されたバーバラ・プロジェクト(BARBARA Project:Biopolymers with Advanced functionalities foR Building and Automotive paRts processed through Additive manufacturing)は、農業廃棄物で生成されたバイオプラスチックでできた自動車のダッシュボードやドアノブを発表した。すでにイタリアの大手自動車メーカー、フィアット(Fiat)での導入が決まっている。

生成されるバイオプラスチックには工夫が凝らされている。例えばドアノブにはレモンオイルが混ぜられており、殺菌効果の高いバイオプラスチックが採用されている。染色もニンジンやザクロ、ブロッコリーなどから抽出した植物由来の自然素材だ。

2017年に発足したバーバラ・プロジェクトは、スペイン・イタリア・ドイツ・スウェーデン・ベルギーの5カ国から11社が参加しているEU圏の合同企画だ。プロジェクトは従来の石油製のプラスチックに代わる、革新的な機能性を有した新しいバイオプラスチックの開発を目的に動いており、バイオマス資源の収集から製品の開発、3Dプリンター技術とかけ合わせた製造工程の構築、製品の検証までを手がけることで、バイオプラスチック産業内の大きな流れを生み出している。

このプロジェクトが注目を集める点は、工業製品として使用されるバイオプラスチックの生成に注力していることだ。化石燃料を使用しないサステナブルな選択肢として、プラスチック袋やシャンプーの容器など家庭レベルで使用されるバイオプラスチックの実用化が進んでいる中、工業用部品には耐久性や耐熱性、抗菌性などマテリアルとしての機能性が求められるため、バイオプラスチックの導入はあまり進んでいなかった。バーバラ・プロジェクトは自動車産業や建設業界などで使用されるバイオプラスチックで作られた部品作りを進めている。また、3Dプリンターのインク用樹脂として使える形状を採用し、車体や建築部品への応用の幅を広げる。

産業レベルでバイオプラスチックを導入すれば、生産過程全体での持続可能性は飛躍的に高くなるだろう。また、農業や食品業界で出た廃棄物を工業の分野で再利用することで、業界を超えた大きなサーキュラーエコノミーも進む。プロジェクトのコーディネーターであるバータ・ゴンザルボ・バス(Berta Gonzalvo Bas)氏によると、バーバラ・プロジェクトで作成されているバイオプラスチックは従来のプラスチック製品よりコストが40%抑えられ、製造過程に排出される二酸化炭素も20%削減できるという。

廃棄される食品を価値のある原材料として捉え、サーキュラーエコノミーを促進しているバーバラプロジェクト。イノベーティブな発想で作られる新しいバイオプラスチックは自動車産業や建築業に止まらず、実用性のためにサステナブルな観点が置き去りにされている様々な業界で起用されていくだろう。今後どのような広がりを見せるのか楽しみである。

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【参照サイト】バーバラ・プロジェクト