VRで世界をもっとよくする。HTC VIVEが1,000万ドルの「VR For Impact」を開始

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仮想現実の力を使って、現実の世界をよりよい場所にする。そんなビジョンをもとに、新たな一大プロジェクトが始まろうとしている。

ルームスケールのVR(仮想現実)世界大手のHTC VIVEは1月19日、2030年までの国連の「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成を支援し、世界にポジティブな変化を創出するVRコンテンツと技術を推進するプログラム、「VR For Impact」を開始すると発表した。1月16日からスイスのダボスで開催されている世界経済フォーラムの中で公表された。

今後、HTC VIVEは「VR For Impact」を通じて世界を変革する最も強力なエクスペリエンスを創出するコンテンツやテクノロジーの開発者らに対して合計1000万米ドルを資金援助し、仮想現実の力を利用して世界全体へのポジティブなインパクト創出を目指す。

今回のプログラム公表にあたり、HTCのCEO兼会長を務める王雪紅氏は、「われわれが世界を学び、理解し、変革するのを助ける仮想現実の潜在力は無限である。VR for Impactは、世界中のVRコミュニティーおよびコンテンツ開発者にとって、意識を高め、人類の最大の課題を解決するための挑戦である。

HTC Viveは、仮想現実を使用した最良のアイデアに資金を提供し、私たちの世界で本当に意識とポジティブな変化を引き起こす。われわれは、VRエコシステムのすべてのプレーヤーに一緒に参加するよう勧める。それによってのみリアルインパクトを推進できるからだ」と語っている。

VRから始まる素晴らしい現実『VR for Good』」の記事でもご紹介した通り、VRがユーザーに提供するリアリティ溢れる臨場感やストーリーテリングの力は、貧困や大気汚染、テロや難民など、世界が抱える様々な社会課題を人々に効果的に伝えるうえで非常に強力なツールとなる。

また、VRによる疑似体験を通じた教育やトレーニングなども大きなポテンシャルを秘めている。特に、HTC VIVEが提供するルームスケールのVRではユーザーが仮想現実空間の中を歩き回ることができるため、より強力なストーリーテリングツールとして機能させることが可能だろう。

HTC VIVEは現在「VR For Impact」のウェブサイト上でアイデアを募集しており、プログラム最初の優勝プロジェクトは4月22日の「地球の日」に発表されるとのことだ。

2016年は「VR元年」とも言われ、世界中で急速にVR市場が成長する一年となったが、ハードウェアの普及やコスト面、コンテンツの質、事業採算性など様々な点で課題も多い。しかし、このVRという最先端テクノロジーが社会課題の解決と結びつくことで、我々が予想もしなかった大きなインパクトが生まれる可能性もある。

「VR for Impact」を通じてどのようなアイデアが生まれ、世界を変えていくのか。今後の展開が楽しみだ。

【参照サイト】VR For Impact

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