家庭の食料廃棄に終止符を。冷蔵庫の中身を教えてくれるスマートワイヤレスカメラ

2017.08.28

Nagisa Mizuno

冷蔵庫に入れたままの食品を気づかないうちに腐らせてしまい、捨ててしまったという経験はないだろうか。日本の家庭から出る食料廃棄は年間800万トンを超えており、一人あたりの食料廃棄率は世界一となっている。食料を捨てることは、食べ物そのものだけではなく支払ったお金やそれを得るために働いた時間まで無駄にしていることに等しい。

そんな家庭の食料廃棄問題をテクノロジーの力で解決し、冷蔵庫の中身を常にチェックする余裕もないほど忙しく生きている現代人の心強い味方となる製品がイギリスで生み出された。

ロンドンに拠点を置くスマートテクノロジーのスタートアップ、Smarterが開発したのは、どんな冷蔵庫にも設置できる世界初のワイヤレス小型カメラ「FridgeCam」だ。このカメラは、独自のトラッキング技術を用いて冷蔵庫の中に入っている食料を識別できるよう時間をかけて学習する。

FridgeCamを設置すれば、ユーザーはアプリを通じて外出先のどこからでも冷蔵庫の中身を確認することができるほか、食品の消費期限が近付けばスマートフォンで自動通知も受け取れる。また、冷蔵庫の中にある食料で作れるレシピの提案もしてくれるうえ、アプリのGPS機能でユーザーが地元のスーパーマーケットの近くを通りかかるのを感知すれば、なくなりかけている品物を買い足すためのリマインダーリストまで送ってくれるという優れものだ。

スマートワイヤレスカメラ

Image via Smarter FridgeCam

Smarterの目標は、この革新的な食料トラッキングテクノロジーにより、年間700万トンにもおよぶイギリスの家庭からの食料廃棄をなくすことにある。イギリスでは毎年一つの家庭につき700ポンド分に相当する食料が捨てられているが、FridgeCamを使えば最大この半分まで無駄な廃棄を削減できるという。本体の価格は99ポンドなので、3ヶ月以内に元が取れる計算だ。スマート冷蔵庫を買うと3000ポンド以上はしてしまうが、このカメラが一つあれば大金を払う必要もない。

Smarterの創業者で最高経営責任者でもあるLane氏は「FridgeCamによって、食料廃棄が減るだけではなく、消費者はより賢く効率的に買い物ができるようになる」と語る。

皮肉なことに、冷蔵庫という便利な家電によって私たち消費者はより多くの食料を買い込むことができるようになった一方で、結局はその一部を食べることがないまま無駄に捨ててしまっている。しかし、FridgeCamを冷蔵庫と併用すれば、家庭の食料廃棄を減らすうえで最も大切となる私たち一人ひとりの意識や行動を変えることができる。家庭の食料廃棄を過去のものにする力を、この小さなデバイスは秘めている。

【参照サイト】The FridgeCam™
【参照サイト】農林水産省
(※画像:Smarter FridgeCamより引用)

この記事を書いたライター

水野 渚

Nagisa Mizuno

水野渚(Mizuno Nagisa)。元国家公務員として、安全保障分野で語学力を駆使し、翻訳・通訳を始め、国家間交渉に携わる。国内では、名古屋、東京、沖縄に住み、海外ではイギリス、デンマーク留学経験の他、世界40か国以上を旅している。サステナブル、環境、海、クリエイティブ、デザイン、アート、ヘルシー、フード、シェアが気になるキーワード。現在、参加型コミュニティアートを大学院で研究中。