イギリスのデザイナーBen Cullis Watson氏が、日本の「ボカシ肥」のプロセスを使った台所用堆肥ゴミ箱、「Taihi」を開発した。ボカシ肥とは、有機質肥料に微生物資材を加えて醗酵させた肥料のことを指す。
Taihiは、その名の通り家庭生ゴミを無臭で簡単に堆肥に変えてくれるゴミ箱だ。2017年のTesco AwardsおよびJoseph Joseph Brilliantly Useful Awardでは新人デザイナー賞を受賞している。
現在、世界中ではゴミ排出が大きな課題となっている。イギリスでは毎年1,000万トンの食糧ゴミが埋立てられており、これは2,000万トンの温室ガス排出に相当する。そして、そのうちの75%が堆肥利用できるゴミだという。
このゴミを行政が収集して廃棄するには莫大な金額となるため、イギリスは2025年までに飲食物ゴミの20%削減を目標にしている。この状況にインスピレーションを受けて開発されたのがTaihiなのだ。
Taihiは、人々が自分の家で家庭ゴミを処理し、ゴミが埋立て場に運搬されるコストおよび環境への影響やメタンガスを削減する目的で作られた。また、イギリス人の83%が居住スペースが限られた都市部に住んでおり、Taihiは都市生活におけるガーデニングや緑との共生にも貢献する。
Taihiには、日本の伝統的な肥料作成方法である「ボカシ肥」が使われている。堆肥の生成プロセスは以下の通りだ。
まず、通常のゴミ箱と同じように生ゴミを入れる。そして、ゴミ箱の上部にある小さい瓶の中の活性剤を噴射する。活性剤にはマイクロ有機体が含まれており、噴射されるとすぐに分解が始まる。堆肥を貯めておく容器は2つあり、醗酵サイクルである2週間ごとに交換する。分解中に発生した液体は、ゴミ箱内の密閉された缶の中に貯められ、毎日家の中の植物に肥料として使うことができる。
ゴミ箱の中で生ごみをためて堆肥を作るとなるとニオイが心配になるが、フタが2つあることと密閉ゴムによりニオイの問題は解消されるという。また、醗酵促進のためにゴミ箱を回転させたり、他のメンテナンスを行う必要もない。Taihiのモットーは、速く簡単に利用できることだ。
現在、Ben Cullis Watson氏は2つの企業と共に商品化を目指してTaihiを改良中だ。Taihiが商品化され、多くの家庭の台所に並ぶ日が本当に待ち遠しい。
【参考サイト】BEN CULLIS WATSON
【参考サイト】THE JAMES DYSON FOUNDATION
(※画像・情報提供:BEN CULLIS WATSON)