世界一孤独な木に刻まれた、人が地球を汚す時代「人新世」の始まり

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人類が地球の生態系や気候などに影響を及ぼし始めてから、どれくらい経っただろうか。私たちの何気ない行動や産業活動が地球環境に何かしらの跡を残していることは間違いなく、ノーベル化学賞受賞者のドイツ人化学者パウル・クルッツェンは、そんな時代を「人類の新しい時代」という意味を込めて「人新世(アントロポセン)」と呼んだ。

人新世は、地質学的な新しい時代区分だ。クルッツェンが提唱するには、人類が誕生した1万1700年ほど前から続く「完新世」はすでに終わっており、人々が地球環境に深く関与する新しい時代に突入しているらしい。その始まりについては諸説あり、学者たちが今でも研究と議論を続けているテーマである。

2018年2月、The Converationがその始まりの指標となるかもしれない木に着目した記事を発表した。ニュージーランド領最南端のキャンベル島にある、シトカトウヒという種類の木に残された形跡が、人新世の始まりが1965年だということを示しているという。

同種の樹木から約275キロメートル以上離れているため「世界一孤独」だと信じられている木が、指標となりえる理由。それは、この木が核実験によって生成された放射性炭素の跡を残しており、1965年の10月から12月にかけて大気中の放射性炭素量がピークに達しているからだ。これは、北半球のシグナルと一致する。

1960年代は、急速な工業化と経済成長が人口の拡大をもたらし、世界が急速にグローバル化し始めた時代でもあった。人類の活動は地球全体の歴史に比べたらほんの短い期間ではあるが、環境に多大な影響を及ぼし始めていることを表している。

今回の研究結果は、人類が地球に対してさらに大きな負担をかけるときに再び話題にあがるだろう、とThe Conversationの記事は締めくくられる。環境に大きく影響しうる要素を研究し、仮説として提示した。

人類の歴史が続いていくために現代の私たちができるのは、地球環境をどうにかしよう、と大きな決意をすることではない。一番身近な次の世代のことを考えることだ。私たちの子どもや孫にあたる次の世代にベターな環境を残すために、これからの産業活動や消費行動を意識していきたい。

【参照サイト】Anthropocene began in 1965, according to signs left in the world’s ‘loneliest tree’