都市の洪水防止に。ゴミの炭素繊維をリサイクルして作った道路

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近年、世界では大規模な洪水が頻繁に発生している。ひとたび洪水が起きると、住民の生活や農作物への影響は甚大だ。

洪水の要因の1つは、都市部では多くの道路や駐車場で不透水性のコンクリートが使用されていることだ。降った雨水が道路下の地面に吸収されないため、雨水が河川などに集中的に流れ出してしまう。

こういった都市圏における洪水の制御を目的として、これまでさまざまな地域で駐車場や交通量が少ない道路に透水性コンクリートを採用する取り組みがあった。透水性コンクリートは水を通すことに優れており、雨水が道路下の地面に浸透できる。しかしその反面、不透水性コンクリートと比べて強度が劣るという問題点があった。

そこでワシントン州立大学研究チームは、これらの問題を解決するべく新しい透水性の舗装の方法を開発した。一度廃棄された炭素繊維(カーボンファイバー)をリサイクルして透水性コンクリートに加え、強度を高めることに成功したのだ。

炭素繊維は超軽量で強度に優れており、飛行機の翼や風力発電のタービン、そして車などに広く使用されている。現在、炭素繊維の市場は年間10%ずつ成長しているが、生産される炭素繊維の合成物のうち30%がゴミとして廃棄処分されているという。

ワシントン州立大学の研究チームは、航空宇宙機器開発を行うボーイング社の協力を得て、ボーイングの製造工場から出た炭素繊維のゴミを削って透水性コンクリートに均一に混ぜた。その結果、炭素繊維が入った透水性コンクリートは排水性が低下することなく、耐久性が大きく改善され、強度は通常のコンクリートと並んだ。このリサイクル方法なら、膨大なエネルギーも化学製品も必要としないことも優れた点だ。

「炭素繊維をリサイクルするということは、ゴミを使うということだ。優れた炭素繊維をゴミとして捨てることはできない。これは製品になるのだ。カギは、エネルギーの最小化とコストダウンである。」と、ワシントン州立大学のEnglund教授は語る。

研究チームは今回の研究で、炭素繊維がしっかり機能するということを証明した。現在は、実際のコンクリートの舗装テスト中だ。また、廃棄された炭素繊維による透水性舗装を普及させていくため、産業分野とも共同で作業を進めている。

洪水防止を目的とした道路の補強を、他分野の産業ゴミである炭素繊維をリサイクルして行うという今回の研究は、さまざまな分野の知恵と努力が結集した、人々の生活と環境に優しい試みだ。今後の研究開発に期待したい。

【参照サイト】Researchers use recycled carbon fiber to improve permeable pavement
(※画像:Washington State Universityより引用)