河川ゴミ拾うならオンラインで?ゲーマーを巻き込む、新感覚の社会貢献

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米国の主要な水源である五大湖の畔に位置し、大量の水を必要とする工業などが栄えるシカゴ。巨大な湖に注ぐ河川では、人々の発展の代償としてゴミによる水の汚染が慢性化してきた。

そんなシカゴの河川をきれいにするため、現地のチャリティー団体Urban Riversが動いた。同団体は、シカゴの河川を清掃し、川岸の生物の生息地を再建することに慈善活動の重点を置いており、実際に都市を流れる河川の中央に生息地を設置するなどの実績がある。しかし設置後、直ちに発生した問題はゴミの堆積だった。

はじめは毎日カヤックに乗って、人の手でこの生息地を清掃した。しかし、1日足らずでまた膨大な量のゴミが再びその空間を埋め尽くすということの繰り返し。

そこで、この難題の解決策を導き出すべく、Urban Riversはゴミ収集タスクフォースを結成した。その成果として生まれたのが、遠隔制御のゴミ収集ロボット”Trashbot”を使った新感覚のオンラインゲームである。

遠隔で操作できるごみ収集ロボット

プレイヤーは、インターネット経由でゲームにアクセスし、Trashbotを操縦することでゴミを一掃できる。これにより、現地に行かなくても世界中のゲーマーがオンラインでシカゴの河川美化に参加することが可能だ。

清掃ゲームに興味のある人は、Urban Riverのウェブサイトから登録できる。最近はKickstarterでのクラウドファンディングも行っている。今後の開発では、川に住む野生生物のモニタリングに着目していく予定だ。

このゲームの最終目標は、「目標が達成されて誰もプレイしなくなること」であり、非常にユニークだ。共同設立者のNick Wesley氏はこう語る。「いつの日か、片づけるゴミがなくなり、このゲームが退屈になることを心から願っています。」

ゲーマーとしては、楽しみに興じるためにゲームをしているのだから、ゲーム内の目標が達成されれば、つまらなくなってしまうこともある。しかしそれは晴れ晴れとした退屈感だろう。そもそも社会問題が根底にあり、問題が解決されることこそが究極の結末なのだから。

環境を美化するという事業そのものにも感心するが、街に忽然と姿を現わし、悪を挫き去っていく西部劇のヒーローのような、このゲームの哲学的な部分にも美しさを感じる。

【参照サイト】Urban Rivers
【参照サイト】Trash cleaning robot controlled by you.
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