犯人特定に家系図サイトを利用。プライバシーの懸念で物議

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家系図作成サイトをご存じだろうか。系図学者などを対象に提供される商用のサービスで、DNAデータをアップロードして膨大な量の家系図を効率的にクラウドソーシングすることができる。

一般の消費者にとっても、自分の血筋を調べたり親戚と繋がったりできるという利点があり、こういった遺伝子系図に関連するビジネスは急速に成長している。MIT Technology Reviewの記事によると、消費者向けの遺伝子学的検査を受けた人の数は、2017年には今までの年をすべて合わせた数の2倍以上になり、今年初めの時点で1200万人以上になったとのデータが出ている。

家系図作成サイトのひとつであるGEDMatchでは、遺伝子のデータをアップロードするときには本人の許可がないといけないというルールを設けている。他人のDNAファイルをアップロードして、たったの数クリックでその人の親戚を探し始めることもできてしまうが、プライバシー上の懸念があり歓迎されることではない。

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そういったなか、家系図作成サイトの利用のされかたに関して物議を醸した一件がある。米国カリフォルニア州の捜査当局が、「ゴールデンステートキラー(Golden State Killer)」と呼ばれる連続殺人犯を逮捕するためにGEDMatchなどのサイトを利用して親戚を特定していたことが明らかになったのだ。詳細は公にされていないものの、捜査当局は過去の犯行現場から採取した殺人犯のDNAデータをアップロードし、犯人の親戚を探したのではないかと見られている。

捜査当局はもちろん犯人の許可を得てアップロードしたわけがなく、サイトのルールは破られたことになる。ただ、この行為に法的な問題があるかどうかは微妙なところだ。ニューヨーク大学のエリン・マーフィー教授は「基本的に、犯人が残したDNAは法で保護されない」とコメントしている。それでも一般のユーザーの中には、捜査当局が密かにサイトを利用してあらゆるユーザーのDNAを閲覧し得る状況を快く思わない人もいるだろう。

家系図作成サイトは、血縁という根源的な世界に向き合うきっかけをくれるサービスだ。自分はどこから来たのか。そういう深い部分に立ち入る怖さがありながらも、「知りたい」という想いに突き動かされる人が多いのではないだろうか。

それが真剣な想いであるからこそ、プライバシーを不当に扱ってほしくはないものだ。サービスはどのように利用されるべきなのか。犯人逮捕の一件をきっかけに考えたい。

【参照サイト】Investigators searched a million people’s DNA to find Golden State serial killer
(※画像提供:Shutterstock