生態系の隠れたサポート役。ベルリン大聖堂の屋根が、ハチのホテルに変わるとき

Browse By

ドイツの首都ベルリンにそびえ立つベルリン大聖堂。ホーエンツォレルン王家の記念教会として建てられ、観光名所としても知られるこの大聖堂の屋根で、大量のハチが羽音を轟かせていた。

巣を設置したのは、養蜂家のウーヴェ・マース氏とその妻であり生物学者のコリンナ・ホルツァー氏だ。彼らは、生態系の維持に必要な花粉媒介者(送粉者)であるハチの重要性を呼びかける”Berlin is buzzing!”というイニシアチブを2010年に発足させた。ハチの羽音である”buzz”、そして「バズる(一躍話題になること)」をかけたキャッチフレーズである。

ハチは、わたしたちの日々の食生活においても大きな役割を果たしている。国連環境計画(UNEP)アヒム・シュタイナー事務局長の報告によると、世界の食料の9割を占める100種類の作物のうち、7割はハチが受粉しているという。いわば、わたしたちが食べる野菜や果物を実らせてくれている存在なのだ。

しかしその数は、10年以上前から近年減少傾向にある。殺虫剤や寄生虫、気候変動や食糧不足などによって、ミツバチをはじめとした何十種類ものハチが絶滅の危機に瀕しているのである。

そこで、ハチの生育環境を確保しようと行動したのがマース・ホルツァー夫妻だ。「花粉媒介者がいなければ、健全な生態系はない。」ホルツァー氏はこう述べる。

彼らはベルリン大聖堂だけでなく、劇場、プラネタリウム、ドイツ財務省、さらには連邦大統領の住居の敷地内にまで、ハチが水分をとって休むことのできる「ホテル」を設置した。暖かく風が強い5月のベルリンで、多くのハチが並木道の木々や屋上の花の上を忙しく飛び回ったという。ちょっとした楽しみとして、ベルリン大聖堂では、マース氏の作った蜂蜜が販売されている。

国際連合総会では、毎年5月20日を「World Bee DAY(世界ハチの日)」とするとの決議が採択された。ドイツのメルケル首相はハチの減少問題の重大性を強調し、国民に「生物多様性を考慮して、ハチに良いことをする」よう呼びかけている。マース氏、そしてホルツァー氏のイニシアチブは、わたしたちの生活にとっても必要なハチについての人々の理解を促進し、積極的に助けることにつなげる運動だ。

現在、このイニシアチブはドイツの25都市に広がっており、「ハチに優しい園芸」に関するセミナーも開かれている。ハチの巣が近くにあれば毒針に怯えてしまいそうになるが、日ごろから隠れた恩恵を受けて生活しているのだということも忘れてはいけない。

【参照サイト】Berlin Summit!
【参照サイト】Insect ambassadors: Honeybees buzz on Berlin cathedral