枯れた木も資源に。廃棄木材から生まれた「カーボンネガティブ」なバイオプラ

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気候変動の抑制や生物多様性の保全など、さまざまな目的で行われる植樹活動。木は大気中のCO2を吸収するが、その木が枯れたり、伐採のときに発生する廃材をそのままにしていたりすると、微生物の活動などにより分解され、大気中にCO2を放出してしまう。ただ木を植えるだけでなく、「育った木をどのように使えばいいのか」と長期的な視点で考えることが、植樹活動のひとつのポイントだ。

ドイツ・ベルリンのスタートアップであるMade of Air社は、木が吸収した炭素がずっと固定されるよう、廃棄される木材から作ったバイオ炭を原料とする、新たなバイオプラスチックを開発した。

バイオ炭とは、バイオマス(生物資源)を無酸素または低酸素条件下で加熱して作られる固形物で、木炭や竹炭がこれに該当する。バイオ炭は炭素を固定するため、これを農地などに投入して、炭素を土壌に貯留するという使い道がある。そのなかで同社はバイオ炭を、さまざまな用途で使えるバイオプラスチックという新素材を作るための資源と捉えている点がユニークだ。

 

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Made of Air社によると、この新素材は、ライフサイクル全体で排出するCO2よりも多くのCO2を蓄える、カーボンネガティブな素材だという。彼らの目標は、大気中からできるだけ多くのCO2を取り除くことだ。そして、除去した炭素をできるだけ長く保持させたいという理由から、このバイオプラスチックを車や家具など、寿命の長い製品に利用することを想定している。

2016年の設立以来、同社が製造したバイオプラスチックは10トン以上に及ぶ。スウェーデンのアパレル大手H&M、ドイツの自動車メーカーであるアウディ、その他アメリカの家具メーカーなどとの取引があり、サングラスや建物の外装などに同様の新素材が使われている。

Made of Air社の取り組みを見ていると、地球温暖化の主な原因は大気中のCO2濃度が高まっていることであり、この炭素を他の場所へ移動させるという視点が重要であることがわかる。もちろん、CO2を排出する人間活動を量を減らすことは大切だが、大気中のCO2を有効活用することで開ける、私たちの新たな可能性にも注目したい。

【参照サイト】Made of Air
Edited by Kimika

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