ラベルフリーを選んだ、資源循環型ブランドを目指すEvianの進化

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9月に入ったがまだまだ蒸し暑い毎日が続いている中、ちょっとした外出の際でも、熱中症対策のために水を携帯することが欠かせない。水を自宅から持参する人も増えているが、忘れるとつい自動販売機やコンビニなどでペットボトルの水を買ってしまうという人もいるのではないだろうか。健康のために水分を摂取することは大事だが、そのときに気になるのが飲料の容器であるペットボトルによる環境汚染だ。そこで、世界中で親しまれているフランスのミネラルウォーターブランド、Evian(エビアン)が他の大手企業に先駆けて環境に配慮した新たな「エコボトル」を導入すると発表した。

この度発表されたボトルには、ラベルが無い。新たなボトルには、ボディに文字や絵柄などを浮き彫りにするエンボス加工でロゴを施し、キャップにアイコニックなブランドカラーのピンクを使用した、スタイリッシュなデザインになっている。もちろん、このボトルがエコボトルと言えるのはラベルがないからだけではない。使用済みプラスチックをリサイクルペットに変える技術を持ったLoop社と開発した、ほぼ100%リサイクル可能な素材が使用されているのも特徴だ。(ただし、キャップのみリサイクル不可)

意外と知らない人も多いのだが、ペットボトルがリサイクル工場に運ばれてもラベルを一緒に処理できる施設とそうでない施設がある。それゆえ、さまざまな状況を鑑みて販売戦略を立てるようなグローバルブランドほど「ラベル」問題は重要なポイントなのだ。同商品は、2020年9月以降、 UAE、 メキシコ、 マニラ、 フィリピン、 ベトナムとシンガポールの 一部のホテルやレストランなどで配布が開始される予定だ。その他にも、バーコードのラベル付けが不要なeコマースでの販売拡大を見込んでいる。

Evianは2025年までに100% 資源循環型モデルのブランド(Circular Brand)を目指している。この目標を達成するため、2018年より資源循環型の経済モデルを推進するエレン・マッカーサー財団と「資源循環型」モデルへの移行ストラテジーを構築している。同社は、さまざまな企業と協業してこの目標を達成すると宣言しており、この取り組みも資源循環型モデル移行へ向けた戦略の一つなのだ。

日本では2020年3月31日に「資源有効利用促進法」の省令の一部が改正され、タックシールの代わりにペットボトル(PET)に直接リサイクルマークを刻印することで完全ラベルレス化が可能となった。アサヒ飲料や日本・コカコーラなど日本で展開するブランドも一部同様の取り組み始めているが、世界的に見るとラベルレスに取り組んでいるブランドは未だ少ない。今後、同社の動きを見て他のブランドが、そして世界の行政機関がどのような対応をしていくのか注目したい。

【参照サイト】evian® Transforms Its Approach to Plastic to Become a 100% Circular Brand by 2025
【参照サイト】Evian releases label-free bottle made from recycled plastic as it embraces the circular economy

Edited by Momoko Takita

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