肉や魚を買った時、トレーに敷いてある吸水シート。この吸水シートはリサイクルできるかどうか、ご存じだろうか。日本では、吸水シートが容器包装リサイクル法の「特定容器包装」に該当し、プラスチック製容器包装としてリサイクルの対象になっているが、国によってはリサイクルされないこともあるという。
BBCによると、イギリスではプラスチック製の肉用トレーごみが毎年約80万トン出ており、そのうち5~8%は吸水シートのごみだという。(※1)肉の余分なドリップを取り除いて鮮度を保持しつつ、吸水シートのごみを減らせる容器のアイデアはないだろうか。
イギリスのスウォンジー大学の研究者であるアラア・アライゾキ氏は、プラスチック製造メーカーのクレックナー・ペンタプラストと共同で、吸水シートを使わなくて済む、細かいくぼみのある肉用トレーを開発した。このくぼみにドリップが入ると、トレーを振ったり逆さにしたりしてもドリップが流れ出ないため、吸水シートと同じ役割を果たすのだ。
トレーをごみに出すときは、水で洗えばドリップが流れ落ちるので、汚れが原因でリサイクルができないという心配がない。つまり、このトレーは100%リサイクル可能だ。すでに、イギリスの大手スーパーマーケットチェーンのSainsbury’sやAsdaでは、このトレーに入った肉が販売されているという。
トレーに使われている技術は今のところ、食品包装用としてのみ特許を取得しているが、アライゾキ氏によると、おむつや生理用品など他の分野でも技術を活用できる可能性があるという。多くのおむつや生理用ナプキンには、トレーの吸水シートと同じように、尿や経血をゼリー状に固める技術が使われている。そのごみが埋め立てられると、何百年も土に残ってしまうのだ。別の方法で液体を閉じ込めることができれば、より環境に優しい製品ができるかもしれない。
環境に配慮した容器や包装のアイデアは色々あるが、吸水シートに着目するのは新しさを感じる。ごみを出すときに「これはリサイクルされるのだろうか」「土に還るのだろうか」など少し疑問を持ってみると、ごみの行方について理解が深まりそうだ。
※1 Plastic pollution: New meat tray could save tonnes of waste – BBC News
【参照サイト】 The 100% recyclable meat tray – new packaging does away with throwaway absorbent pads – Swansea University
Edited by Erika Tomiyama