植物性ミルクの種類に「じゃがいもミルク」加わる。スウェーデンの大学が開発

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大豆にアーモンド、オーツ麦、ココナッツなど、牛乳に代わる植物由来のミルクは、私たちの暮らしに溶け込みつつある。世界最大の統計調査データプラットフォームStatistaの調査によると、アメリカのアーモンドミルク市場は、2016年の18億5000万ドルを大きく上回り、2024年までに50億ドルに到達すると予想されている。(※1)

牛乳にはない栄養素を含む植物性ミルクを選ぶ理由は、ダイエットや健康のためなど人それぞれだが、気候変動や地球温暖化を食い止める一手にもなることをご存じだろうか。

牛や羊などの反芻(はんすう)動物は、消化の過程でメタンを発生させる。メタンは地球温暖化の原因とされる温室効果ガスの一つで、二酸化炭素に次いで多い。国連食糧農業機関によると、家畜に由来するメタンは温室効果ガス全体の約15%を占め、そのうち62%は牛から排出されているという。(※2)そのため、牛乳と比べると環境負荷が小さい代替ミルクが、身体だけでなく環境にもいいと注目を集めているのだ。

しかし、代替ミルクにはそれぞれに独特な風味や香りがあり、「牛乳の代わり」と考えてしまうと万人受けする味ではない。そこで新たに登場したのが、スウェーデンのVeg of Lundが生み出した世界初の「じゃがいもミルク」だ。

Veg of Lundは、ルンド大学の科学的なフードイノベーション研究に根ざしていている組織で、究極の植物性飲料を作ることをテーマに掲げている。

今回彼らが開発したじゃがいもミルクは、じゃがいもと菜種油などを原料とし、味は豆乳やオーツミルクと似ているが、他の植物性ミルクと比べて癖が少ないそうだ。

Veg of Lundによると、植物性タンパク質は動物性タンパク質よりも流動性が非常に高いため、牛乳のようなクリーミーさを再現することは難しいという。しかし、じゃがいものタンパク質とデンプンを独自の方法で加熱し、オメガ3を豊富に含む菜種油と混ぜることで、牛乳のような乳液を形成することに成功した。

現時点ではじゃがいもミルクにリンゴやブルーベリーなどの果物を加えたスムージー商品のみだが、将来的にはヨーグルトやアイスクリーム、生クリームの製造・販売も計画されている。

ルンド大学の食品学者エヴァ・トーンバーグ氏はプレスリリースで、「じゃがいもの賢いところは、何の味もしないことです。しかも、油に含まれる脂質が味を引き締めてくれるのです」と、魅力を語っている。オメガ3脂肪酸を豊富に含む菜種油を用いたことで、健康補助食品としての役割も果たすという。

さらに注目したいのが、原料となるじゃがいも自体が環境にやさしいことだ。例えばじゃがいもの栽培は、オーツ麦に比べて、土地の利用効率が2倍高い。さらにアーモンドと比べると、栽培に必要な水の量は56分の1で済むという。水利用効率の高い農産物は、水不足や干ばつを防ぐための節水にも期待ができる。また、じゃがいもはすでに世界各国で栽培されているため、生産面での持続可能性が高いことは言うまでもないだろう。

最近では、気候変動に配慮し、環境負荷の小さい食品を選ぶライフスタイル「クライマタリアン」が登場するなど、日本でも環境に配慮した食生活に注目が集まっている。地球のことを考えながらも、我慢はせず、おいしく楽しい食生活を継続する。一歩一歩着実に、自分にできることを生活に取り入れてみよう。

※1 Vegan Market – Statistics and Facts
※2 Global Livestock Environmental Assessment Model (GLEAM)

【参照サイト】”Växtmjölk” och omega 3-dryck på gång
【参照サイト】Potato milk may just be the biggest food trend in 2022
【参照サイト】DUG
【参照サイト】MY FOODIE

Edited by Motomi Souma

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