地球上の生き物の10%が生息する世界最大の熱帯雨林アマゾン。「地球の肺」とも呼ばれるアマゾンでは、生い茂る木々や植物が二酸化炭素を吸収し、酸素を生み出している。しかし、それは“かつて”の話だ。
イギリスの学術誌「Nature Climate Change」に掲載された論文(※1)で、アマゾンの熱帯雨林が2000年代初頭から炭素吸収力を失っていると報告された。酸素ではなく温室効果ガスの排出量が上回ったことで、地球規模での生物多様性や炭素貯蔵、気候変動に深刻な影響を与える危険性があるという。
さらにブラジルの調査研究所Imazonによると、アマゾンの熱帯雨林破壊は2021年に過去最悪を記録。2022年に入っても勢いは止まらず、2月までに303平方キロメートルの原生林が消失したという(※2)。東京23区の約半分と同じ面積が、たった2か月で消えたことになる。
アマゾンを「無限のストリーミング・CO2無料除去ができるサービス」として捉えていないか──。
そんなメッセージを2022年のアースデイに合わせて発表したのが、“世界一履きやすい”スニーカーブランドとして知られるAllbirdsだ。「Keep the Amazon Prime」と題したキャンペーンでは、世界的なショッピングサイト“Amazon”と絡めて、アマゾンの現実を知ってもらおうと動画を制作した。
作られたのは、CMショッピングに似せた80年代テイストの動画。お好みの金額を課金すれば「無限のストリーミング」「CO2除去ができるサービス」があると、アマゾン熱帯雨林への寄付を募る内容だ。
もちろん動画はジョークだが、キャンペーンに合わせて、アメリカのNGO団体で先住民と熱帯雨林を守る活動を行うAmazon Watchを通じて寄付サイトを開設。期間中に寄付された3万8,956ドル(約508万円)はすべて熱帯雨林保護に当てられるという。
日常でアマゾンという単語を頻繁に使うことはあっても、熱帯雨林のアマゾンに思いを馳せることはほとんどない。かつて炭素貯蔵のエースだったアマゾンは、便利なショッピングサービスである“Amazon”に隠れて、気がついたころにはどんどん姿を小さくしてしまっている。CNNの報道(※3)によると、近ごろでは違法な農耕地開発や畜産事業のため、故意の山火事が目立つという。
これ以上熱帯雨林破壊を進ませないためには、一人でも多くの協力が必要だ。アマゾンから遠く離れた日本で暮らす私たちにできるのは寄付だけでなく、Allbirdsのような企業の商品を購入することも一つ。買い物をする時、「どんな環境保護を目指している企業なのか」を選ぶ基準に加えてはどうだろうか。
※1 Pronounced loss of Amazon rainforest resilience since the early 2000s
※2 Devastated area hit 303 km² in the month, the second consecutive growth this year
※3 アマゾン森林の消滅、今年10カ月で33%増 過去10年で最悪
【参照サイト】Allbirds × Amazon Watch
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