公平なまちづくりのために、まず現状を見よう。NYで生まれた「格差地図」

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自分の住む街の「暮らしやすさ」について、普段どれくらい考える機会があるだろうか。

街を歩いていると、同じ市内でも、自然が多い場所と少ない場所があったり、郵便局やスーパーなどの便利な場所が近いところと多いところがあったり、車の渋滞が激しい場所とそうでない場所があったりする。生活環境・生育環境による違いは外から見ていると少し分かりづらいものだが、実際に住んでみると徐々に「地域格差・機会格差・教育格差」となって現れる。

アメリカ・ニューヨークの有色人種の人口が多い10区域では、白人の人口が多い10区域と比べて、喘息の有病率が96%高かったり、駐輪場の数が64%少なかったりと、さまざまな格差がある(※1)

こういったデータをオンラインマップ上で可視化しているのが、非営利団体のTransportation Alternativesとマサチューセッツ工科大学が作成した、「Spatial Equity NYC(ニューヨーク市の空間的公平性 )」だ。政策立案に携わる人などに格差の現状を伝え、その解消に役立ててもらおうとしている。


Spatial Equity NYCは、色分けされた地図や棒グラフを使って、格差のデータを分かりやすく伝えている。たとえば、色分けされた地図を見ると、ブロンクス区では喘息にかかっている人の割合が高いことが分かる。また、棒グラフを見ると、成人の約10%が喘息を持つ区域があれば、約1%が喘息を持つ区域もあるといった違いが分かる。

2022年11月現在、同ツールで公開されているデータは、騒音、交通事故死者数、公園へのアクセスの良さ、公共ベンチの数に関するものなど、15種類に及ぶ。今後、データの種類は増えていくそうだ。

同ツールでは、格差を解消するための解決策も示している。たとえば、大気汚染を防ぐために、駐車場の一部を植林スペースに変えたり、バス専用レーンや自転車専用レーンを導入したりすることを提案している。

「エクセルの表などに集約されたデータを見ても、状況を把握しにくい」と感じる人にとって、直感的に理解しやすいSpatial Equity NYCは、助かるツールになりそうだ。街づくりの課題に気づき、より広い視野を持つ人が増えることを期待したい。

※1 New Analysis From Transportation Alternatives and MIT Details How Inequities in Public Space Contribute to Racial and Economic Disparities Across New York City Neighborhoods — Transportation Alternatives
【参照サイト】Spatial Equity NYC
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