全米初。カリフォルニア州のすべての大企業が炭素排出量を公表へ

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AppleやGoogleをはじめ、世界屈指の大企業が本社を置くアメリカ・カリフォルニア州。シリコンバレーがあり、世界のビジネスの中心地の一つと言っても過言ではない同州で、画期的な法案が成立した。州内でビジネスを展開する大企業に対し、炭素排出量の開示を義務付けるものだ。

この法案では、大手のグローバル企業を含め、年間売上高が10億ドルを超える約5,300社の公共機関および民間企業が対象だ。また州議会で可決された関連法案では、年間売上高5億ドル以上の企業に対し、2026年から気候変動関連の財務リスクを開示することを義務付けた。開示しない場合は、毎年罰則が科される。

アメリカ政府としても同様の規則法案を検討している段階だが、州知事が署名したことにより、カリフォルニア州では一足先に法律が成立した。炭素排出量の開示を義務付ける法案は全米初であり、気候変動に関する説明責任の新たなモデルとなるかもしれない。

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2025年までに州規制当局が具体的な開示方法を提示し、翌年までに対象企業は、事業活動や社用車の運転など(スコープ1)による排出量と、オフィスでの電力使用など(スコープ2)による炭素排出量の開示が義務付けられる。2027年までには、スコープ1・2には該当しない、サプライチェーンや顧客から排出される排出量である「スコープ3」も報告しなければならなくなる。

スコープ3の排出量は、総排出量に占める割合が圧倒的に多く、最も削減が困難であるとも言われている。スコープ3の排出量を削減するために企業がとることのできることは、既存のサプライヤーやその顧客と協力して、排出量を削減するための解決策を検討することだ。

この法案は、カリフォルニア州の商工会議所や強力な石油関連企業からの断固とした反対を受けている中で成立した。州知事は、このような部門に配慮して法の文言を微修正するとしている。焦点となっている「スコープ3」の要件を削除したり、その他の措置を弱めたりする計画は明言していないが、圧力がかけられる可能性が高いため今後の動きには注目だ。

一方で、ハイテク大手のAppleやGoogleをはじめ、IKEA、パタゴニア、アマルガメーテッド銀行などサステナビリティに力をいれている企業もこの法案を支持している。

EUはすでに、同地域でビジネスを展開する大企業に気候情報開示を義務づける規制を採択しており、カリフォルニア州法の影響を受ける多くの企業に適用される可能性のある追加要件を策定中である。

ふだん何気なく使っている製品やサービスに関しても、それを通してどれだけの環境負荷がかかっているかわかると、日々の消費の基準も変わってくるかもしれない。国や州などの大きな動きを受けて、個人としてどう動くのかも今後は大切になってきそうだ。

【参照サイト】California to require big firms to reveal carbon emissions in first law of its kind
【参照サイト】What are scope 1, 2 and 3 carbon emissions?

Edited by Erika Tomiyama

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