スニーカー愛好家の駆け込み寺。VEJAがパリにオープンした「靴の修理ストア」

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ブラジルとペルーで環境再生型農法で育てられたオーガニックコットンや、アマゾンの熱帯雨林にある地元の協同組合によって採取された天然ゴム、リサイクルペットボトルなどを素材として使用したフランスのサステナブル・スニーカー「VEJA(ヴェジャ)」。

「企業の成長は何のため?」フランス発の大人気スニーカーVEJAの哲学

2024年2月、同社はパリ10区のマルセイユ通りに新しい修理専門店「VEJA General Store」をオープンした。ここでは、VEJAのスニーカーだけではなく、他のブランドのスニーカーも同様に修理し、すべてのスニーカーの寿命を延ばすことを目的としている。また、社会復帰を目指す人を支援する組織「Log’ins」と提携し、修理の作業を雇用プログラムとして提供しているのもポイントだ。

VEJA General Store

VEJA General Store Image via VEJA

VEJA General Storeは修理にとどまらず、書籍や家具、靴下、シューズケア用品、靴紐、工具箱、クリーニング用品、文房具など、多分野のサステナブルなプロダクトを幅広く取り揃える。店頭に並ぶのは、DSPTCHやCaran d’Ache、Snow Peakといったサステナビリティに取り組むブランドだ。

店舗の設計にあたっては、Alors Studioの若手フランス人建築家チームと協力。木やコンクリート、ガラスを組み合わせ、温かみのある空間を作り上げた。さらにこのスペースは、再生可能エネルギー供給会社であるEnercoopによって運営されている。

ストア・マネージャーであるMickael Anue氏によると、顧客に買い替えよりも修理を勧めるため、修理費用を可能な限り低く抑え、サステナビリティにおいてバランスの取れた運営を目指しているという。修理するスニーカーの数によって価格は安くなり、スニーカーの状態によっては5ユーロ(約800円)から修理することが可能だ。

VEJA General Store

VEJA General Store Image via VEJA

2020年6月、VEJAはスニーカーを長持ちさせるためのプロジェクト「Clean, Repair, Collect(クリーン、修理、回収)」を立ち上げた。フランス・ボルドーにあるイノベーション施設「DARWIN」から始まり、2021年7月には、パリの老舗百貨店ギャラリー・ラファイエットにもオープン。これまで、自社ブランドにとどまらない3,500足以上のスニーカーを修理してきた。

「VEJAのリサイクル・プロジェクトを始めたとき、私たちは何か見落としていることに気づきました。何千もの古いスニーカーを集めることで、その多くが修理やクリーニングが可能であったことです」と、VEJAの創業者であるセバスチャン・コップ氏とフランソワ=ギラン・モリヨン氏はプレスリリースの中で述べている。

VEJA

ギャラリー・ラファイエットにあるスニーカー回収ボックス Image via VEJA

私たちは靴を買っては捨てている。1950年代、フランスには約5万軒の靴修理店があったが、2012年には3,000軒しか残っていない。また、修理にかかる費用は高く、新品の価格と比較して割高に感じられていた。VEJA General Storeができたことにより、傷んだスニーカーの修理を始め、傷みが軽ければ修理して再販することも可能となったという。

今回、VEJA General Storeがオープンしたパリの10区サン・マルタン運河界隈は、近年多くの若者が集う人気エリアだ。修理の選択肢を提供することで、VEJAは顧客との接点を増やし、さらにファンを作ることにもつながりそうだ。また、自社製品でなくても修理を受け入れたり、靴の修理だけではなくサステナブルなライフスタイル全体を提案したりといったスタンスを見せるVEJAは、スニーカー業界のサステナブルリーダーとしての立ち位置を確立しつつある。

【参照サイト】Veja General Store

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