読者と共に「未来を編む」メディアへ。IDEAS FOR GOOD 2.0ローンチイベント開催レポート

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危機を希望に。

気候危機や社会分断の深刻さが増す中でも、希望と共に“つながり”を育み、新しいメディアの未来を探る挑戦を、378名もの方々が支えてくださり、IDEAS FOR GOODはクラウドファンディングの目標を達成することができました。編集部一同、改めて心より感謝申しげます。

この挑戦を経て、IDEAS FOR GOODの新たな船出となる「IDEAS FOR GOOD 2.0 ローンチイベント」を、2025年12月に開催しました。本イベントには、クラウドファンディングの支援者さまや、日頃より取材等で関わりのあるパートナーの皆さまにお集まりいただきました。

今回のイベントの核心となったテーマは「編集部をひらく」こと。これまで編集部主導で発信してきた解決策やアイデアの発信に加え、これからは読者やコミュニティと共に問いを立て、未来を作っていくという意思表明の場でもありました。デジタルメディアの枠を超え、リアルの場で熱量を持って語り合った会場の様子の一部をお届けします。

デジタル社会で高まるリアルの価値

開会の挨拶を務めたのは、株式会社マザーハウス代表取締役副社長の山崎大祐氏です。山崎氏は、途上国の可能性に光を当てる自身の経験と重ね合わせながら、IDEAS FOR GOODの「ポジティブな目線で未来志向のアイデアを発信するスタンス」への共感を語りました。

山崎氏は、AIやデジタルが進化する現代において、リアルへの回帰が重要になると指摘します。「同じものを好きな人たちが集まることこそが、リアルの価値」という言葉には、会場に集まった参加者同士のつながりが、これからの社会変革の基盤になるかもしれないという期待が込められていたはずです。

AIによる「問い」から始まる対話

続いて行われたワークショップでは、参加者それぞれが「2030年にIDEAS FOR GOODに載っていてほしい記事タイトル」を考案。

会場からはユニークかつ示唆に富んだアイデアが飛び出しました。「生き物こんにゃく」というタイトルを発表した参加者は、他者の言語や生き物の気持ちがわかるようになる世界を想像し、分断のない社会への願いを込めました。

「縫製業に求人が殺到」というタイトルでは、現在の繊維産業が抱える労働環境の課題を逆説的に解決した未来を描き、「東京地方は衰退、なんと地方の人口が激増中」というアイデアでは、東京一極集中からの脱却と地方の豊かさの再評価を訴えました。これらのアイデアは、参加者一人ひとりが抱く課題意識と、それを乗り越えた先にある希望の形を映し出していたと言えるでしょう。

後半は、参加者が考案した記事タイトルを基に、AIが生成した「問い」について語り合うグループワークへ。「正解のない時代の学びと評価の再定義」というテーマのグループでは、プロセスを可視化する新しい「通知表」のあり方について議論が交わされるなど、いつもとは少し異なる切り口が対話を促しました。

また、「まちづくりとサーキュラー/ウェルビーイング」をテーマにしたグループでは、一見つながりが見えにくい要素をつなぐ意外な架け橋として「犬」というキーワードが導き出されました。犬と暮らしやすい街は、歩くことを促し、結果としてウェルビーイングと循環型社会をつなぐというユニークな視点は、新しい問いが生み出す化学反応の好例だったと言えるかもしれません。

「読むメディア」から「編むメディア」へ

イベントの終盤では、IDEAS FOR GOOD編集部のこれまでの歩みとこれからのビジョンを共有。2016年の創刊以来、ポジティブな解決策を発信し続けてきた中、コロナ禍を経て「一つの解決策だけでは複雑な社会課題に対処できない」という現実に直面しました。

そこで打ち出されたのが、「読むメディアから、編むメディアへ」という変化です。これまでの消費型の情報との付き合い方から脱却し、読者と共に社会の前提や問いを深め、共に未来を紡いでいく姿勢へとシフトすることが語られました。

また、新たなビジョンに合わせてロゴとウェブサイトのリニューアルも発表。新しいウェブサイトでは、読むだけでなく「集う」というタブが新設され、記事を読む体験とイベントなどに参加する体験を行き来できる設計になる予定です。デザインも、真っ白な背景ではなく体温を感じられる色使いへと変更され、よりアクセシブルで心地よい場所を目指すことが示されました。

イベントを彩ったのは、神奈川県真鶴町を拠点とする「WILD」によるケータリング。地産地消、無農薬野菜、発酵調味料にこだわった料理はすべてヴィーガン仕様。

会場には、これまでにIDEAS FOR GOODで紹介してきたアイデアを実際に見たり、試したりできる展示も。

今回のローンチイベントは、単なるリニューアル発表会にとどまらず、メディアと読者という境界線を溶かし、共に社会課題に向き合う仲間と出会い直す場となりました。

この場を経て改めて編集部が感じたことは、IDEAS FOR GOODの基点が「ひと」にあるということ。記事で紹介するアイデアや取り組みは、どれも社会や自然、他者を想う人がいてこそ、生まれるもの。さらにその記事を通じて、そんな実践者の支えとなったり、人と繋がるきっかけになったりする──これが、記事の向こうで私たちが望む一歩先の未来です。

そうして紡がれてきた、またこれから紡がれる繋がりが、2030年の社会をもっと良くするニュースを生み出す原動力となっていくはずです。

Photos by Masato Otsubo

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