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類縁関係(Kincentric relationship)とは・意味

類縁関係とは?

類縁関係(Kincentric relationship)とは、人間と非人間(non-human)に分け隔てることなく、あらゆる命をKin(類縁)と捉え、つながり合い影響をもたらし合う存在として認識する考え方のこと。類縁の対象は、自然界のエコシステムにおける、すべての要素であるとされる。

また類縁関係は、主に先住民族が体得・体現しているような自然観がもとになって生まれた概念である。例えば、アメリカの先住民であるララムリ族にはiwígaraという概念があり、身体的・精神的にあらゆる生き物は相互につながり一体となれるものだと捉えられている。先住民の人々は、こうした類縁関係的な考え方を土地や野生生物、資源との交わりにおいて採用し、地域の自治や管理における基盤となっている。

重視される考え方

More-than-human

直訳で「人間以上」。人間中心的な考えから脱却し、生き物に限らず世の中に存在するものを対等に捉える考え方。したがって、それぞれの存在には行為者性(agency)があり、個々の行為者性が尊重されるべきであるとされる。類縁関係の概念は、これに基づいた世界観を持っていると言える。

相互関連性

あらゆる存在は網目状の生命のつながり(Web of life)の中で存在しており、何者も完全に単独で生きることはできないと捉える。また、そのつながりの中で、それぞれの存在は互いに影響を与え合っており、短絡的な関係ではなく複雑さを伴う関係が広がっているものと考えられている。

具体的な使用例

類縁生態学(Kincentric Ecology)

類縁関係からエコシステムを捉え、自然環境に働きかけようとする学問。これに基づいた世界の捉え方や行動が、自然環境の保全や強化に寄与することが期待されている。類縁関係に関する大学での講義や研究論文の執筆などは、このカテゴリー下において行われていることが多い。

類縁リーダーシップ(Kincentric Leadership)

Kinship(親類)という概念に共鳴する研究者やアクティビストなどによって組織されている非営利団体。複合的な危機が絡み合う現状に対して、その影響を理解・軽減しながら渡り歩いてゆくことを目的に掲げ、環境保全やメディテーション、ワークショップなどをおこなっている。ここでは類縁関係について、エコビレッジ、パーマカルチャークィア脱植民地主義などとも通ずる概念であると位置付けている。

まとめ

類縁関係という考えが注目される背景には、行き過ぎた資本主義の弊害が環境・人権問題として露呈する中で、人間と自然の関わり方を問い直す動きが起きていることが挙げられる。

人間中心的な考えに基づいた経済システムにおいては、人間と自然が切り離され、その関係性は単純化されてきた。そんな傾向に対して類縁関係は、人間を自然の一部として位置付け直すことで、より複雑に入り組んだ関係性を受け入れ、その広いつながり全体への価値を捉えようとしているのだ。

先住民をはじめ、長らく大切に受け継がれてきた自然と人間をめぐる概念に、改めて光を当てることが重視されつつある。

【参照サイト】Kincentric Ecology: Indigenous Perceptions of the Human-Nature Relationship
【参照サイト】Animal agency: wildlife management from a kincentric perspective
【参照サイト】Violence in Place: Reading Violence through Kincentric Ecology
【参照サイト】Kincentric Leadership
【参照サイト】類縁関係から自然と世界を考え直す。|Isao
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