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デコロナイゼーション(脱植民地化)とは・意味

先住民の写真

(c) Nisag, Chimborazo/ image via Shutterstock

デコロナイゼーションとは?

デコロナイゼーションとは、日本語で脱植民地化の意味。植民地化されていた国々が宗主国(支配国)から独立する過程を指す言葉で、非植民地化とも言われる。脱植民地化は、南北アメリカ大陸の独立など、18世紀末から世界中で見られはじめ、特に第二次世界大戦以後、1947年のパキスタンとインドの独立以降、アジアやアフリカにおいて活発に脱植民地化が行われた。

最初にデコロナイゼーションという言葉が登場したのは1932年、ドイツ人の経済学者Moritz Julius Bonnが、自治を獲得したかつての植民地を指して使用したときだとされている(※1)。その後、1990年代までの間に、先住民から土地や資源、伝統文化などを奪う植民地化の社会的・経済的・心理的影響を覆すプロセスを表すために、学者やアクティビストたちは「デコロナイゼーション」という言葉を用いるようになった(※2)

最近では、研究者などに限らず、若者など多くの人たちがこの言葉を使用しており、たとえばTikTokやInstagramなどのSNS上では、#decolonizeや#decolonizationというハッシュタグを付けた動画や写真などが注目されている。その多くが白人至上主義を揶揄したり、先住民の権利を訴えたりする内容で、TikTokでは#decolonizationが付いた投稿の再生回数1,500万回以上と、多くのユーザーに閲覧されている。

動画のテーマには、たとえば以下のようなものが見られた。

・西欧諸国にとっての“ヘルシーな”食の植え付け
・ロマンス言語がアフリカ文化に同性愛嫌悪の概念をもたらした

特にSNS上での投稿の場合、単純に「既存の価値観に問題提起をする」ことを「脱植民地化する」と表現されることもあり、発信者が必ずしも、過去の植民地の歴史を理解したうえで投稿していると限らない。しかし、人種の優位性や資源の略奪などが未だに存在する今、先住民や支援者たちは、自治や公平な権利を求めて訴え続けている。

デコロナイゼーションと気候変動

さらに、「植民地」や「脱植民地」というワードは、気候変動について語る際にも用いられる。

廃棄物の植民地主義

廃棄物の処理の規制が世界的に厳しくなる中で、廃棄物の輸出が問題視されている。特に、中国が廃棄物の輸入を禁止して以降、ドイツやイギリスなどから多くの廃棄物がトルコや東南アジアなどに送られるようになった(※3)。多量の廃棄物を処分するには、エネルギーが必要であり、特に化石燃料を使って焼却をする場合には炭素を多く排出する。脱炭素への取り組みが進むなかで、そのしわ寄せを受ける国が出てきている。

気候変動対策と植民地主義

IPCCの第六次報告書で、先住民の知恵が気候変動対策に役立つという研究結果が公表された(※4)。先住民が住む地域のなかには、エネルギー資源の開発のため、土地環境が悪化している場所も少なくなく(※5)、その解決が急がれる。それと同時に、現在進められている気候変動対策には先住民の声が十分に反映されておらず、「気候変動対策の脱植民地」が必要だと言う声が上がっている。

カナダで先住民の支援活動を行う団体、Indigenous Climate Action (ICA)は、以下の例を挙げている。

1. EV車の利用可能場所が限定的
再生可能エネルギーの活用が目指される中で、世界的にEV車の普及に向けた動きが広がっている。だが、先住民たちの住む地域ではEV車の充電ステーションへのアクセスがない場合が多い。また、EV車の製造に必要な資源の多くは先住民の土地のものが利用されており、それに伴う水源の汚染などの課題もある。

2. カーボンオフセットによる土地の収奪
個人や企業は、土地を購入することで温室効果ガスを削減、つまりカーボンオフセットをする。だが、購入された土地のなかには、先住民たちにとっての家であり、神聖な場所である場合もあるにもかかわらず、きちんと届け出がされていないこともあるといい、化石燃料産業の個人への「責任の転嫁」だと言われる。

3. ダムによる水質汚染
環境負荷の低い水力発電など、エネルギーの生成に不可欠なダムの存在は、魚や哺乳類などに有害な化合物を増やし、それがCO2やメタンガスの排出につながるとされている。

先住民の知恵を活かしたアイデア3選

以下の記事では、先住民の知恵を活かしたアイデアをご紹介している。

メキシコの先人の知恵に学ぶ「災害に強い駅」の作り方

オーストラリア先住民の知恵が詰まった「自然のバーム」文化継承と自立の一助に

アマゾン先住民族の「ありのまま」の姿を映し出す。映画『カナルタ』監督インタビュー

まとめ

今、自然とサステナブル(持続可能)な要素が組み込まれている先住民の生活から学び、その知恵を活かすことが求められている。しかし、先住民たちの声を聴くどころか、気候変動へのアプローチとして実施されていることが、先住民に負の影響さえもたらしているのが現状だ。

ここでは環境問題とのかかわりを中心に脱植民地主義を見てきたが、論文はもちろん、SNSの投稿などを通して、今多くの人々が伝統文化の保護などの多様な観点から、西洋中心の価値観全体に疑問を呈している。

SDGsが掲げる「誰一人取り残さない」という言葉にもう一度立ち返り、公正な方法での社会移行を追求していくべきではないだろうか。

※1 Towards a History of Decolonization
※2 Decolonization is more than a meme or hashtag
※3 ‘Waste colonialism’: world grapples with west’s unwanted plastic
※4 Indigenous knowledge is vital in the fight against climate change: IPCC report
※5 Gas Pipelines: Harming Clean Water, People, and the Planetなど

【参照サイト】THIS IS WHAT IT MEANS TO DECOLONIZE CLIMATE POLICY




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