家事や仕事の自動化が進み、交通手段も発達している現代では、人々の運動量は大きく低下している。食生活の変化も重なり、いまや「運動不足」は生活習慣病の一因として人々の健康を蝕む大きなリスクとなりつつある。
1日数回10分程度歩くだけも長期的には大きな健康上の効果を期待できるのだが、そうした運動の大事さが分かっていても、実際に行っている人の割合は少ないのが現状だ。多くの人々が無理なく日常生活の中で運動するためには、そのための仕組みや環境が必要だ。
英国ロンドン発のアプリGo Jauntlyは、ロンドンに暮らす人々がより街を歩くことを好きになり、自然に触れ合うようになることを目的として設計された、ウォーキング推進のためのコミュニティアプリだ。自然をこよなく愛するデジタルエキスパートらが集まり、ロンドン交通局(TFL)と共同で開発した。開発にあたっては位置情報テクノロジーを使ったスタートアップを支援する英国陸地測量部のGeovationファンドからも1万ポンドを調達している。
ユーザーの運動量を測定するというアプリは既に数多く存在するが、Go Jauntlyの特徴は、ユーザー同士のコミュニティをベースにしている点だ。アプリのユーザーは自分が見つけたおすすめのウォーキングコースを登録して写真とともにガイドを作成し、他のユーザーに共有できるようになっている。もちろん、ただコースを共有するだけではなく、そこで出会った仲間と共に実際にウォーキングを楽しむこともできる。
また、Go Jauntly はTFLのダイナミックなオープンデータに直接アクセスすることで、渋滞から大気汚染まで、ウォーキングする際に気になるあらゆる情報をユーザーに知らせてくれる。
統計によると、ロンドンでは車や公共交通機関などを利用して1日に行われる360万回もの移動を、徒歩に置き換えることが可能だという。
「Go Jauntlyは健康、環境の観点から社会にプラスの影響を与える良いテクノロジーを作り出すことを願っています。人々が家の外に出てより活発になるようなものを作りたいと思っていました。」と共同設立者のハナ・サッチCEOは説明する。
運動するためのまとまった時間がなかなか取れない多忙な現代人。かといって寝起きの朝の出勤や通学、長い一日の後の帰宅時に歩くのは気が重いという人も多いだろう。このアプリは道中で見つけた一コマの写真のアップロードなどでコミュニティを盛り上げ、人々に歩く動機や喜びを提供する。当然ながら徒歩であれば公共交通や車で使う燃料も必要ないので、環境に優しく人々の健康も促進する。このコンセプトは、日本はもちろん世界中で普及していく可能性を感じる。
【参照サイト】Go Jauntly
(※画像提供:Go Jauntly)