ハンガリー発、子供たちに海を守る大切さを教えてくれるぬいぐるみ「Pollutoys」

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今、世界では年間100万トン以上ものプラスチックが海洋に投棄されており、それが原因で1年におよそ100万羽の海鳥、そして10万頭もの動物が命を落としているという事実をご存じだろうか。

現在のスピードで海洋へのプラスチック廃棄が進んだ場合、2050年には海の中の魚よりもプラスチックのほうが多くなるとも予測されており、海洋汚染は早急に解決すべき深刻な問題の一つとなっている。2050年といえば今からわずか30数年後。この恐ろしい逆転現象が起こる海洋汚染の危機は、遠い未来の話ではないのだ。

この危機的状況の改善に向けて、ユニークかつ心に残る方法でこの問題を知ってもらおうと取り組んでいるデザイナーが、ハンガリーの首都ブタペストにいる。子供向けのぬいぐるみや玩具を制作しているデザイナーのアンドレア・ヴィーダ氏が作ったのは、子供たちに海洋汚染の現状と海を守る大切さを直感的に伝えることができるぬいぐるみ、「Pollutoys」だ。

Pollutoysは、ペンギン、クジラ、イルカ、亀など全部で8つの種類からなる海の生き物のぬいぐるみで構成されており、全てのぬいぐるみのお腹にはチャックが付いている。そのチャックを開けると、中からゴミ袋やプラスチックの食器、ペットボトルなどが出てくるという仕掛けになっている。

可愛らしいぬいぐるみのお腹にゴミが詰まっているというデザインは、シンプルながらなかなか衝撃的だ。それぞれのぬいぐるみには「なぜお腹からゴミが出てくるのか」を説明した小さな冊子が付属されており、子供たちはその理由を知ることができる。

Pollutoysの対象年齢は3歳~5歳。この年齢の子供はおもちゃで遊んだり学んだりした記憶の定着率も高く、海の大切さを教える上でも最適とあり、ヨーロッパやアジアにある数十校のプリスクールでは既にPollutoysが採用されているという。

ぬいぐるみであれば子供も興味を持つことができ、海の生き物がかわいそうな思いをしていると感情移入をすることができる。そのため、海洋汚染問題に対する関心もわきやすくなる。ただ環境を守ることが大事だと言葉やテキストで教えるよりも、より心に響く方法でメッセージを伝えることができるのだ。

未来の地球を担う子供たちに、環境保護の重要性を訴えかける。そのメディアとしておもちゃを使用するという方法は、ユニークでしっかりと心に残る素晴らしいアイデアだ。

【参照サイト】Pollutoys
【参照サイト】Andrea Vida – AVida Toys, Budapest

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