人々のあらゆる好奇心に応えるIT業界の巨人グーグル。あなたは世界中で年にどれくらい検索が行われているかご存知だろうか?その数は実に1兆回を越えており、世界最大規模の検索エンジンとして存在感を示すには十分な数字である。
これだけの情報処理が毎日行われるには、当たり前だが多くのエネルギーが必要だ。しかし高性能なハードウェアとソフトウェアを世界各地で動かし続けるために膨大な電力が使われ続ければ、致命的なエネルギー枯渇につながりかねない。
そこでグーグルは、2017年のうちに世界中のグーグルオフィスおよびデータセンターが使うエネルギーをすべて再生可能なものに置き換えることを去年の12月に発表していた。そして今月、ついにその目標が達成されたのだ。決め手は、3つの風力発電所と提携して3ギガワットの発電を実現したことである。
New clean energy purchases bring our total wind and solar capacity to over 3 gigawatts—enough renewables to match 100% of the energy it takes to run our products in 2017. pic.twitter.com/8ykaWO9LU0
— Google (@Google) 2017年11月30日
グーグルは、発表当時からすでに20の異なる再生可能エネルギー源を利用しており、クリーンなインフラを作るために35億米ドル以上の投資を行ってきた。ここ数年で太陽光と風力の値段が大幅に下がり、より安価に持続的なエネルギー源を確保できるようになったこともあるが、そのコストパフォーマンスだけにとどまらず地球にやさしい100%再生可能エネルギーを目指す徹底ぶりはさすがだ。
しかし、常務取締役であるUrs Hölzle氏は「これは最初のステップに過ぎない」と語る。彼らは再生可能エネルギーの購入場所にもこだわろうとしているのだ。今後はデータセンターがある地域で作られたエネルギーを直接購入し、エシカルな流通を目指している。
さらには「私たちの究極のゴールは、グーグルのみならずあらゆる人が再生可能エネルギーにアクセス可能になることである」とHölzle氏は続ける。世界レベルで見てみるとまだまだエネルギーの多くは再生可能でない形で消費されているとはいえ、ここまで来るとIT企業というよりも自然環境保護団体かのような印象すら受けるほどだ。
グーグルに代表される多国籍大企業に期待される社会的役割は、年々大きくなっている。世界的な大企業の持つ予算はすでに小国のそれを遥かに超えており、経済力がもたらす影響を考えれば当然のこととも思われる。
莫大な利益を生み出し続けながら環境に配慮することは離れ業のように聞こえるが、今回グーグルが実現したような可能性をAppleやAmazonなど他の大企業も次々に示しており、少しずつ世界は変わっている。世界に影響を与えるグーグルの今後の取り組みに注目したい。
【参照サイト】We’re set to reach 100% renewable energy — and it’s just the beginning