日本でも入手できる身近なドイツ製品を考えたとき、まず思い浮かぶのは何だろう。工業大国ドイツは、自動車製造をはじめ、電機・電子など、幅広い領域で世界の産業をリードし、広く愛される製品を生み出してきた。伝統技術と革新的なビジネスが共生する点もドイツ産業の強みだ。
また、ドイツでは工業のめざましい発展の一方で、環境への負荷を軽減する再生可能エネルギーの技術も高い成長率を示しており、世界一の太陽光発電の設置出力を誇る。
今回はこれまでにIDEAS FOR GOODで取り上げてきたプロジェクトを振り返り、古くからのクラフトマンシップと最新テクノロジーが交錯するドイツから、社会をよくするアイデア5選をご紹介する。
01. スマホのカメラで商品の安全性が確認できるアプリ
スマートフォンで食品や商品をスキャンするだけで、残留農薬や塗料などの物に付着する成分や有害物質を発見できるアプリが登場。カメラの性質と解析アルゴリズムの組み合わせにより、物体の成分を見ることが可能に。
02. 電気のない生活に光を届けるソーラーランプ
世界では11億人もの人々が電気のない生活をしている。「全ての人にエネルギーアクセスを」をモットーにドイツのLittle Sun社が立ち上げたプロジェクトは、ソーラーランプの販売により、電気のない地域の夜に光を灯すことを目指す。
03. 動画広告視聴でバスや電車の乗車が無料になるアプリ
20秒間の動画広告視聴と引き換えにバスや電車が無料で利用できるアプリがデュッセルドルフでリリースされ、開発者の予想をも大きく上回る反響を呼んでいる。市民に公共交通機関の利用を促し、環境面での好影響をもたらすことが期待される。
04. 荷物を送りたい人と運べる人をつなぐ輸送システム
ライプツィヒのスタートアップによるPeer to Peerのソーシャルデリバリーサービス。目的地への移動を既に予定している人に荷物を配達してもらうサービスなどを構築し、輸送による環境への負荷の低減を狙う。
05. クラウドファンディングで実現したエコな長距離鉄道
世界初、クラウドファンディングの助けを借りて作られた長距離鉄道が走行するのは、シュツットガルトとベルリンをつなぐ400マイル。安価な運賃、再生可能エネルギーによる走行、車内にソーシャルゾーンを備えるユニークなサービスなどが魅力だ。
まとめ
ドイツは欧州諸国の中で、特許申請の最も多い国だという。国内最大の都市ベルリンは、多くのスタートアップが集結する街としても知られる。ドイツ生まれのプロジェクトの数々は、イノベーションにかける関係者の熱い想いを宿している。卓越したアイデアを世に送り出し続けてきた誇り高き経済国発の、製品、そしてサービスに魅せられてやまない。
【参照サイト】在日ドイツ商工会議所