プラスチックごみでモノづくり。サーキュラーエコノミー時代の3Dプリンター「Gigabot X」

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私たちの日常に溢れている「プラスチック」は極めて利便性が高い素材だが、そのぶんだけ人類に多くの課題をつきつけている。なかでも深刻なのは、プラスチックゴミの問題だ。米科学誌によれば、これまでに地球上で生産されたプラスチック製品は83億トンを超えており、そのうち63億トンもの量がゴミとして廃棄されたという。

プラスチックごみのうち79%は埋め立て処分か海洋などに廃棄され、リサイクルされたのはたったの9%。現状のペースでいくと、2050年までに120億トン以上ものプラスチックごみが埋め立て処分から自然界に廃棄されると試算されている。

プラスチックを海に廃棄したところで、それが自然に分解されるわけではない。海洋に捨てられたプラスチックは海の生態系を脅かし、食物連鎖を通じて人類の体にも影響を与える。また、海中を漂い続けた大量のプラスチックゴミは沿岸部の地域に住む人々の生活も直接的に脅かしている。

このプラスチック廃棄の問題に、3Dプリンティングという最新のテクノロジーからアプローチしているユニークな製品がある。それが、プラスチックごみを使ってプラスチック製品を作ることができる新型の3Dプリンター「Gigabot X」だ。

通常の3Dプリンターは、プラスチック素材を紐状にしたフィラメントでモノを作る。ところがGigabot Xの場合は、プラスチックゴミを砕いて作ったペレット(3~5mm程度の粒子状にしたもの)を原料にするのだ。ペレットはペットボトルからも作れるし、3Dプリンターで製造した造形物を再び原料に転用することもできる。つまりGigabot Xで作ったものを粉砕してペレットにし、それをまたGigabot Xに入れて何かを作るといった完全循環型の製造プロセスも実現できるのだ。

ペレットを使うことのメリットは環境への配慮だけにとどまらない。ペレットは通常の3Dプリンターで使用されるプラスチックフィラメントよりも10倍安価であるほか、ペレットを直接加工することで製造速度も最大17倍まで早くなるという。

このGigabot XはすでにWeWork Global Creator Awardの受賞とSBIR(National Science Foundation Small Business Innovation Research Program Phase I)からの支援によりそれぞれ100万米ドル以上の資金を獲得しており、現在もKick Starterでクラウドファンディングを継続している。

考えてみれば、3Dプリンターも一歩間違えれば「自然環境を脅かす機器」となり得る。プラスチックで造形物を作る以上、その大量生産は同時に大量のプラスチックゴミを発生させることにもつながりかねない。

「現代の産業革命」と言われ、製造業だけではなく医療や建築など幅広い分野で活用が期待されている3Dプリンターだが、大事なのはその技術をどう使うかだ。3Dプリンターが「人類の英知の結晶」になるか、それとも「ゴミを生み出し続ける負の産物」になるか。我々は今、未来を左右する分岐点に立っている。

【参照サイト】Gigabot X
【参照サイト】Gigabot X: Large-Scale, Recycled Plastic Pellet 3D Printer-Kickstarter
【参照サイト】Production, use, and fate of all plastics ever made

(※画像:Gigabot X: Large-Scale, Recycled Plastic Pellet 3D Printer-Kickstarterより引用)