ノルウェーの首都オスロは、2020年までに1990年比で温室効果ガス排出量を50%削減し、2030年までに95%削減するという目標を立てている。この目標を達成するために一番の障害となっているのが、交通だ。交通分野は、オスロの温室効果ガス排出量の60%を占めている。
とはいえ、オスロはすでに交通分野の排出量を削減するためにさまざまな対策を行っている。電気自動車の割合は世界一を誇り、バスの3分の1が代替燃料で走っている。他にどのような対策が打てるだろうか。
考えたオスロ市議会は、走る車の数を減らすため、市内中心部にある700か所の路上駐車場を2018年内に廃止した。
「車のための街から人のための街へと、パラダイムシフトを起こします」と、都市開発を担当するオスロ副市長のHanna Marcussen氏は語る。廃止された駐車場は子どもの遊び場や駐輪場など、新たな視点で活用することを検討している。
実はこの駐車場を廃止するというプランは当初、市内中心部への車の乗り入れ自体を禁止する提案だった。ハイブリッドカーや電気自動車も含め、全部だ。実現すればヨーロッパの主要な都市では初の取り組みとなっていたが、車を持つ人や地元の店から大きな反発があり、いったんはより緩やかな「駐車場の廃止」というプランを採用することとなった。
反対の声を上げる人の理由は「車でなく電車で通勤すると時間がかかる」「雪が降るなか自転車に乗るのは厳しい」「そもそも自転車用のインフラが十分に整備されていない」など、さまざまだ。しかし市が行った投票によれば、駐車場を廃止するプランは多くの住民から支持を集めているという。
駐車場は2018年に廃止されたので、取り組みはまだ始まったばかりだ。パリやマドリードなど他のヨーロッパの都市も車の利用を制限しようと試行錯誤するなか、オスロの取り組みが地元の人に受け入れられれば、追随する都市も現れるだろう。
首都の中心部から駐車場が無くなるという状況は、理解を得られるのか、それとも時期尚早と判断されるのか。今後も動向を見守っていきたい。