ホームレスの人々に「汚れないパーカー」が届く。オンラインショッピングを通した新たな支援のカタチ

2020.05.18

現在、多くの国で外出禁止令が出されるなど、国民の外出自粛が求められている。「#StayHome(家にいよう)」は、今や私たちに深く根付いた言葉となり、SNS上ではおうち時間を快適にするための様々なアイデアが散見されるようになった。しかしながら、「home」が室内にはなく、「Stay outside」 状態を余儀なくされている人たちが世界中にいる。路上生活者、「ホームレス(※1)」と言われる人々である。年々路上生活者の死者数が増加傾向にあるイギリスでは、2018年に726人の人々が亡くなった。同国にはそのような住む家がない人々を支援する団体が多く存在する。

イギリスのロンドンで一組のカップルが立ち上げた、Unhousedというスタートアップ企業もそんな路上生活者を支援する団体のうちの一つだが、その支援方法はユニークだ。彼らはオンラインで衣服や雑貨の販売を行い、購入された商品と同様のものを、家がない人々へ寄付している。注目すべき点は、販売されている衣服の性能にある。2年かけて開発されたUnhousedオリジナルの特別なナノテクノロジーを用いて作られたパーカーとセーターは、水や汗をはじき、汚れや臭いが付きにくいことに加え、菌の除去率が高い優れモノである。なかなか衣服を洗うことができず、汚れた状態のものを長い間身に着けていることが多い路上生活者が、少しでも快適に過ごすことができるように──そんな想いから生み出されたのがこの高性能の衣服であり、それを必要な人に届けることのできる「Buy 1, Give 1」の仕組みだったのだ。

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また、同オンラインショップには衣服の他にも歯ブラシや生理用品などの生活雑貨、携帯電話のクレジットやヘアカットの権利といった路上生活者の生活を明るくする商品やサービスがラインナップされている。こちらは「Buy 1, Give 1」ではなく、ユーザーが購入したモノやサービスが路上生活者のもとに届けられる。購入した人は、実際に商品やサービスを受け取った人からのメッセージやコメントも受け取れるようになっており、自分の買い物が誰かの支援に繋がっていることを実感できる仕組みになっている。

日本における路上生活者は数字の上では年々減っているが、ネットカフェなどで生活し、安定した住居を持たない「見えないホームレス」も多いため、その実態は把握しづらい。また彼らは新型コロナウイルス感染症の蔓延や災害などの緊急事態の際に取り残されやすい存在でもある。今回ご紹介したのはイギリスの事例だが、日本でも、ホームレス状態の人々が直接販売している雑誌「BIG ISSUE」を購入するなどの手段で彼らを支援することはできる。自分が嬉しく誰かの笑顔にもつながる、そんな小さいけれど大きな力になるアクションを起こしてみてもいいかもしれない。

※1 ホームレスはその人の置かれた状態を指す言葉であるため、「ホームレス状態」や括弧つきで「ホームレス」、最近では「ハウスレス」とも言われることもある。

【参照サイト】UNHOUSED.ORG
【参照サイト】Office for National Statistics
(※画像提供:UNHOUSED.ORG)

この記事を書いたライター

伊藤 智子(いとう ともこ)。大学時代、ヨーロッパで数年間過ごしたのち、大阪の真ん中から海と山が近い千葉の里山に移住。生態系の一部としての人間のあり方を模索すべく、山の中の古民家でシェアハウス生活を行う。ライター業の傍ら、カフェの運営やまちのつながりづくりなどに取り組み、さまざまな人と出会い、多様な生き方に触れることに魅力を感じながら過ごしている。最近のテーマは、目の前のものをじっくり感じ、味わい尽くすこと。曖昧なもの、わかりにくいものこそ大事にしたい。