サステナブルなライフスタイルの実現をサポートする、スペインの自転車アクセサリーブランド「CLOSCA」

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日本では一般向けマスクが市場に出回りはじめ、マスク不足は徐々に解消しつつある。これまで環境を配慮して使い捨ての製品をなるべく使用しないようにしていた人も衛生面への懸念から、使い捨てマスクを毎日使用し、少し罪悪感を感じている人も多いのではないだろうか。

そんな中、環境対策とウイルス対策に、同時にアプローチしている企業がある。それが、スペインの自転車アクセサリーブランド「CLOSCA」だ。CLOSCAは、同社が考える「サステナブルな社会」を伝えるマスクの販売をはじめた。このマスクは、ウイルスを98%カットする高機能フィルターをマスク本体に入れ替えて使う仕組みになっており、本体とフィルターは繰り返し洗って使用できる。フィルターを入れ替えて使うデザインは、衛生的であるだけではなく、本体が長持ちするというメリットもある。

CLOSCAのマスク

CLOSCAのマスク

また、マスクと同じ素材で作られた保管用のバッグも付いているため、これまで繰り返し使えるマスクの課題であった、「使用済みマスクの置き場問題」も解決してくれる。廃棄物を最小限に抑えるライフスタイルを実践しながらスマートにウイルスから身を守ることができそうだ。

CLOSCAは、Carlos Ferrando氏が2013年に設立し、人々の感性を刺激するデザイン性に優れた、イノベーティブなプロダクトを作ることに専念してきたブランドだ。例えば、同社がはじめに開発したヘルメットは建築からヒントを得たという「折り畳み可能なヘルメット」だ。コンパクト、軽量であるだけではなく、折り畳み部分に通気口を作り、汗をかく暑い時期でもヘルメットの中に熱い空気が籠ることがないようにデザインされている。

また、このヘルメットが注目を集めた理由は、ファッショナブルな見た目や機能性だけではなく、NFCチップ(搭載されている機器同士を近づけるだけで通信できる技術)を本体に組み込み、データも持ち運べるという、これまでのヘルメットになかった機能を追加したことにあった。このヘルメットは数々のデザインアワードを受賞し、CLOSCAはヘルメットブランドとして有名になった。

CLOSCAのヘルメット

数カスのデザインアワードを受賞したCLOSCAのヘルメット

社長のCarlos氏が次に提供したのは、ヘルメットを使用し自転車で生活するようなグリーンライフを実践する人々に向けたウォーターボトルだった。持ち運びのしやすさを考え、自転車にもカバンにも装着できる軽い素材・デザインを採用。洗浄がしやすく、口触りの良さを追求するため、飲み口にはガラスを採用した。さらに、ボトルを持ち歩くことを習慣化させるため、水のリフィルができる場所を示したモバイルアプリも独自に開発した。

CLOSCAのウォーターボトルとアプリ

CLOSCAのウォーターボトルとアプリ

テクノロジーの技術を活用しながらサステナブルなライフスタイルの実現をサポートすることをビジョンに掲げ、起業家の支援活動やNPOとのコラボ商品の開発、デザイン組織と共に子供のための子供によるヘルメットの開発など、次の世代とともに新たなイノベーションを起こす取り組みにも尽力しているCLOSCA。昨今彼らが公開したビデオは彼らが未来について常に考えているという企業姿勢がうかがえる。

そして、CLOSCAが今回開発した新商品のマスクは1着購入されるごとに、5つの医療用マスクの購入代金として医療従事者や労働者に寄付される仕組みになっているのだが、興味深いことに今回マスクの販売を通じて伝えたいメッセージは、「フロントラインに立って社会に貢献している人たちのためにアクションを起こそう」ということではないようだ。

彼らはマスクの販売ページにこのようなメッセージを記載している。

マスクを着用することはファッションステートメントとして認識されるべきではありません。私たちのマスクは将来の世代にとっての変化の象徴であり、いつか彼らがそれを着用する必要がないことを願っています。」(CLOSCAコーポレートサイトより)

彼らがマスクの販売を通じてユーザーに伝えたいことは、マスクが再度出回ることがないような平和な社会をつくるため、「自分のアクションを変えよう」ということではないだろうか。デザインを通じて感性を刺激し人にアクションを想起させるCLOSCAは、今後も進化し続け、ますます消費者に選ばれるブランドになるだろう。

【参照サイト】CLOSCA
【参照記事】Monocle -The entrepreneurs
【参照記事】CLOSCA INTRODUCES A INNOVATIVE ​REUSABLE MASK​ FOR CORONAVIRUS PANDEMIC

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