子どもたちが努力次第で夢を叶えられる社会を。バングラディシュの児童労働問題に挑むベビー服「Sunday Morning Factory」

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2020年6月1日から20日まで「ストップ!児童労働キャンペーン」が開催されている。児童労働(Child Labour)とは、義務教育を妨げる労働や、法律で禁止されている18歳未満の危険で有害な労働のこと。現在、世界では1億5200万人が児童労働に従事し、世界の子どもの10人に1人が働いている計算になる。

児童労働と聞くと、遠い国の話のように思えるかもしれないが、それは私たちの日常とも大きく関わっている。私たちが着ている洋服に使われる綿の多くは、インドで生産されている。そのコットン種子生産で働く労働人口の約25%が、義務教育年齢とされる15歳未満の子どもだ。また、洋服を作る過程においても児童労働が存在することがわかっている。2014年にバングラデシュの縫製工場ビル「ラナ・プラザ」が倒壊した事故では、1100名の死者の中に子どもも含まれていたことが報告されている。

そんな中、かねてからビジネスを通して国内外の社会課題解決に貢献しているボーダレスグループSunday Morning Factoryは、ファッションを通して児童労働問題解決を目指すベビー服ブランド「Haruulala Organic」を立ち上げた。

ベビー服を通して、貧困の負の連鎖を断ち切る

Image via Sunday Morning Factory

貧困地域での仕事の多くは、肉体を酷使する日雇いの仕事だ。収入は少なく不安定で、なんとかその日の生活費を稼いで生活しているため、少しでも怪我や病気をして働けなくなると、すぐに家計が立ち行かなくなってしまう。そこで、子どもたちは家計を支えるために、幼いうちから働きだす。こうして大人になった彼らは、幼い頃に教育を受けていないことから安定した職につくことが困難になり、「貧困」という負の連鎖が続く。

こうした児童労働問題へのアプローチとして、Sunday Morning Factoryではバングラデシュ現地にアパレルブランドの自社工場をつくり、生活に困らない安定した給与の仕事を創出した。子どもたちが学校に通える環境づくりを行い、貧困の連鎖を断ち切ることを目指している。また、これから奨学金制度も設け、子どもたちが高校まで卒業できるようサポートしていく。

労働環境への配慮だけでなく、製品自体へのこだわりも強い。オーガニックコットンを使用していることに加え、洗濯タグや名前タグは、全て肌に直接当たらない箇所にとり付けている。また洗濯タグは、ごわつきを軽減するため、よくあるわっか留めではなく、両面プリントの片留めを採用。タグの端は角が固くならないように、加工を施している。

加えて、Sunday Morning Factoryでは子どもたちの未来を守るため、「おさがり」を大切にしている。サイズが小さくなってしまったら、次の人に洋服を譲ることができるよう、名前タグは3人分用意。長く使えるように素材・縫製にも工夫を凝らし、成長に合わせてサイズを2段階調整できるようになっている。

Sunday Morning Factory

Image via Sunday Morning Factory

アットホームな工場で作られたこだわりのベビー服

それでは、彼らはどのような経緯で事業を始め、バングラデシュ現地の工場はどのように運営されているのだろうか。今回、大学時代からエシカルファッションの活動を展開し、児童労働ゼロに向けて取り組んでいるSunday Morning Factoryの北山里菜さんにお話を伺った。

Q. なぜ「ベビー服」に注目したのですか?

私たちが「出産祝い専門のベビー服」を販売するのには2つ理由があります。1つ目の理由はトレンドがないことです。出産祝いなので、季節でさえも関係ありません。そのため、シーズン毎の余剰在庫や廃棄などは一切出ないのです。

2つ目の理由としては、出産祝いギフトにすることで売値が少し高くても買ってもらえるということです。私たちがこの事業をする目的は「雇用の創出と児童労働の撲滅」であるため、少しでも多く雇用を創出したいという思いから、自社工場での縫製費用も含めた商品仕入れ時の原価を上げる必要がありました。原価の上昇に伴い売値も高くなりますが、それでも喜んで買ってもらえる商品は何かと考え、ギフト市場に狙いを定めました。もちろん値段設定に相当するよう、素材や細部にまでとことんこだわっています。

Q. 実際に、バングラデシュでの労働環境はどのように改善されているのですか?

適正なお給料を支払うことで、子どもたちが働きに出なくて良い環境をつくることが結果的に児童労働撲滅に繋がっていくと考えているので、私たちが目指している指標は雇用数になります。3年前、たった8人の雇用しか創出できなかった私たちも現在では72人の仲間と働けるまでに成長しました。社員は主に、夫の収入だけでは生活が困難な家庭の女性を積極的に採用しており、給与は相場より高い設定となっています。

また、工場内に託児所やアフタースクールを設けるなど、子どもがいても働きやすい環境づくりを目指しています。さらに、子どもたちが自由に学べる環境を提供するため、奨学金制度などもこれから取り入れていく予定です。教育を受けることで貧困の連鎖を打ち切れるよう、子どもたちの未来づくりにも取り組んでいきます。

Q. バングラデシュ現地で働く人たちや購入者からの声はありますか?

私たちが大切にしているのは「ファミリーワーク」。つまり、家族のように働くことです。仲間の誕生日には工場中のみんなでお祝いしますし、仲間内で赤ちゃんが生まれた時には一目散に駆けつけました。仲間が工場長に「お見合いがいやだ」と相談した日には、仲間の家まで工場長が出向き両親を説得させたほどです(笑)。そのため、現地の仲間からは「家族のように思ってくれることが嬉しい」という声が一番多い気がします。メンバーを家族のように思うことで、給与搾取はもってのほか、長時間労働などの問題もそもそも起こり得ないんです。

一方で、購入者さんからのお声で一番多いのは「デザインがかわいい」や「丁寧な対応で助かる」といった、生産背景や児童労働問題には全く関係のないものです。最近はエシカル消費に対しての認知が広がり、オーガニック製品など環境に優しいものを手に取る方が増えたので「安心してプレゼントを贈れた」などのお声も増えてきました。

児童労働をなくすことは、あくまで私たちの目的であってお客さまの目的ではないので、「バングラデシュの人を助けたいから買ってください」ではなく、「よい商品だから買ってください」というスタンスで臨んでいます。

Q. Sunday Morning Factoryのこだわりポイントはありますか?

バングラデシュの工場は、ほとんどが受注オーダー制で、企業から受注依頼されて初めて仕事が成り立ちます。労働者はいつ解雇されるか分からない不安定な状況にあり、今回の新型コロナウイルスの影響下でも、沢山の縫製労働者が不当解雇やレイオフの被害にあいました。私たちのような自社工場で生産しているかたちは珍しいのです。

普段から、給与が数ヶ月遅延したり、10時間を超える長時間労働を強いられたりしたことが原因で、他の工場から逃げるように私たちの元へやってくる方も多くいます。そんな状況下で、目指すべきはBIGファクトリーではなく、GOODファクトリーです。つまり、管理しきれない大きな工場ではなく小規模でも働く環境が整った良い工場です。ロールモデルとなるような工場を地域ごとに一つずつ創り、工場の在り方や働き方を本気で変えていきたいと思っています。そんな熱い想いに賛同して下さる方がいらっしゃいましたら、ぜひ一緒に服づくりの未来を変えていきませんか?

インタビュー後記

家族のように働く環境を整え、児童労働ゼロを目指すSunday Morning Factory。社会課題解決に対する想いや生産背景の透明性を大切にしているからこそ、消費者である私たちの共感を生むのだと感じた。児童労働問題自体への意識を高めていくのと同時に、その一つの手段としてHaruulala Organicのような生産背景を大切にするブランドを選択し購入することで、一消費者として社会課題解決に貢献していける。社会課題の解決を目指すとなると、とてつもなく大きなことに思えるかもしれない。だが、その一歩として自身の消費行動を振り返ってみることから始められるものだと思う。全てエシカルな消費を目指すのは難しいが、まずは家族や友人へのギフトから始めてみてはいかがだろうか。