後世に緑豊かな地球を。アムステルダム、新生児に一本の木をプレゼント

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米ワシントン大学は2020年7月、世界人口が2064年にピーク(約97億人)を迎えたあと、今世紀末には約88億人にまで減少するという予測を発表した。出生率の低下により、日本を含む23か国では2100年までに人口が半減し、各国で高齢化が劇的に進むという。研究によると、2100年には5歳未満の人口が約4億100万人へと減少し、80歳以上の人口が約8億6600万人にまで増加する。この予測が正確であれば、社会の巨大な変化は避けられないだろう。

世界人口の多数派が若年層から高齢層へと推移しつつあるなか、新たに生まれる命は平等に祝福され、喜びと平安のうちに生きてほしい。

オランダのアムステルダム市は、新たな命の誕生を祝うとともに、後世に緑豊かな地球を残したいという想いから、赤ちゃんが生まれた親に一本の木をプレゼントするという。赤ちゃんが生まれたと届け出た親は、木を一本植えるか、リサイクルされた海洋プラスチックとオーガニックコットンでできたベビー布団をもらうか、どちらかを選べる。

アムステルダム

Image via unsplash

木を植える場合は、オランダの財団である「Trees for All」を通して行う。同財団は1999年に設立されて以来、20年間にわたって森林再生や植樹活動を行ってきた団体だ。企業でも個人でもTrees for Allのプロジェクトを通して木を植えることで、世界的な森林破壊を止める一助となれる。毎年100億本の木が失われるなか、生態系の回復のためには欠かせない活動だ。

アムステルダム市は2007年以来、赤ちゃんが生まれた親へのプレゼントとしてバスタオルをプレゼントしてきた。しかし、この赤ちゃん用のバスタオルは濃い染料を使っているため、初めて使う前に3回も洗わなければならず、エコではないという課題があった。また、2人以上子どもを産んだ親にも同じプレゼントを渡すため、バスタオルが増えすぎるという懸念がある。そこで、今回はよりサステナブルな代替案が採用されたという経緯だ。

新型コロナウイルスの影響で家にいる時間が長くなる昨今、家族という存在を見つめ直している人も多いのではないだろうか。命とは、家族とは、生命の営みとは何なのか。子どもが生まれた親に木を贈るこの取り組みは、そんなセンシティブな事柄に思いを巡らすきっかけを与えそうだ。

【参照サイト】 One life, one tree: Amsterdam offers chance to plant for new babies

Edited by Erika Tomiyama

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