今、新型コロナウイルスの流行を受けてオンラインショッピングの需要が増えている。そんな便利なオンラインでの買い物だが、商品はダンボール包装やプチプチなどの緩衝材とともに届けられ、それらはやがてごみとなる場合が多い。これら包装ごみを何とか減らしたいと思ったことがある人もいるのではないだろうか。
そんな悩みを解決するのが、フィンランドに本拠を置くRePackだ。同社はオンライン配達から梱包ごみを取り除くべく、再利用可能包装サービスを提供している。社名と同じ名前の配達袋『RePack』は以下のように機能する。まず、同サービスの参加企業は商品をRePackに入れて顧客に郵送する。顧客は商品を取り出したあと、空になったRePackを郵便ポストに投函する。そして、RePack社は送られてきた袋を清掃して、参加企業に再送するのだ。
古い冷蔵庫などをリサイクルしたポリプロピレンを原料とするRePackは耐久性に優れ、20サイクル(40回の郵送)以上使用できる。さらに100%リサイクル可能で、寿命が来ると新製品にアップサイクルされるため、ごみとCO2排出量を大きく削減する。同社はRePackを20サイクル使用した場合、製造と配達で生じるCO2を使い捨てプラスチック袋に比べて78%、段ボールに比べて75%削減できるとしている。ごみの重量は同じく20サイクル使用後に、使い捨てプラスチック袋に比べて92%、段ボールに比べて96%削減できる。
包装の再利用の際には清潔さが気になるところだが、同社は清掃を徹底している。現在、新型コロナウイルスの蔓延を受けて同社は顧客と従業員の健康に配慮し、まず空の袋を3日間放置して、その後ナチュラルクリーニング製品を使って汚れを取り除いている。
このシステムがうまく機能するために重要なのが、顧客に空の袋をRePack社に返却してもらうことだ。返却は無料でできる上に期限もなく、空の袋を折り畳んで郵便ポストに入れるだけで簡単に完了するが、同社は同時に顧客に袋返却を促す報酬プログラムも提供している。顧客の袋返却作業が完了すると、顧客は参加企業一覧のプラットフォームへのアクセス権が与えられ、同プラットフォームにおいて商品券として使用したり、チャリティ団体に寄付できたりする。
現在、欧州と北米の100社以上がRePack包装に参加している。参加できる企業の条件はオンラインで商品発送していること、欧州もしくは北米に拠点があること、そしてガラスや陶器など追加の包装を必要としない商品を販売していることだ。企業の場所に制限を設けているのは、地球の反対側といった遠方からの注文の場合、配送の際のCO2排出量が多くなるからだ。
また、RePackはドイツ最大級のオンラインショッピング企業3社と共同で、ドイツ政府が資金提供する研究プロジェクトに参加している。ドイツでは1人当たりのオンラインショッピングのごみ廃棄量が毎年約10kgにのぼることから、同プロジェクトはオンラインショッピングのごみを大幅に減らすことを目的として3年間実施され、再利用可能包装について検証される。
オンラインショッピングのごみを減らす、再利用可能包装『RePack』。私たちの生活をもっと環境に優しくしてくれる、“一度使って終わり”ではない包装が広まっていくことを期待したい。
【参照サイト】RePack
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Edited by Tomoko Ito