異常気象による洪水から市民を守る、コペンハーゲンの「気候公園」

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近年、台風やハリケーンによる大規模洪水が世界中で頻繁に起きている。デンマークの首都コペンハーゲンは日本に比べると自然災害は少ない方だが、集中豪雨がたびたび起きており、2011年7月には2時間で150mmの雨が降ったことで10億ユーロ(約1,200億円)ほどの被害が出た。

そこで、コペンハーゲン市は100年に1度の大洪水からも街を守れるように、集中豪雨の防止のための300のプロジェクトを20年間継続させることを発表。その防止策のひとつが、市民の憩い場であり、災害時には命を守る「気候公園(Climate park)」だ。90年以上の歴史を持つ市内の公園「Enghavepark」が、容量2万2,600m3の貯水池を備える公園に生まれ変わったのである。

同公園のリノベーションは、コペンハーゲン市とコペンハーゲン大都市圏ユーティリティ(HOFOR)が発注し、マスタープランと景観(デザイン)を同市にある設計事務所Tredje Natureが担当した。Tredje Natureは、この公園をコペンハーゲン最大の気候プロジェクトだとしている。

コペンハーゲンの公園

(c)Tredje Nature

貯水システムは以下のとおりだ。同公園のあるコペンハーゲンのカールスバーク・ビューエン地区に降る雨は、同公園に自然に流れて容量2,000m3の地下貯水池に集められる。ここに集められた雨水は、掃除や市内の植栽への散水に使うことができ、市内の水を節約する。

残りの雨水はろ過されて、公園内のレクリエーションエリアで再利用され、地下貯水池が満杯になると水は公園内の他のエリアに導かれる。同公園は集中豪雨時に水を集めるために、敷地内のいくつかのスペースは低い位置に作っており、最終的には公園敷地の境界近くに設置された高さ1mの堤防とともに公園内で最大2万2,600m3の水を貯められる。

公園全体が水に浸されると公園の一般公開は中止されるが、24時間後にコペンハーゲンの下水道システムが再び水を取り込む準備ができると同公園の水は空になり、市民にむけて再公開される。

コペンハーゲンの公園

(c)Tredje Nature

コペンハーゲンの公園

(c)Tredje Nature

また、同公園は貯水のためだけではなく、人と動物のための緑あふれるくつろぎの場でもある。公園内の多くのエリアは約90年前のオリジナルの特色を残しつつ、新しい現代のデザインを追加して、雨水を公園の新たなアイデンティティの一部とした。たとえば、豪雨の際に堤防になる外壁は、普段は子供が遊ぶスペースやベンチとして使用できる。1万を超える多年生植物が昆虫や小動物などの野生生物の住みかを作り出し、人々は四季折々の自然の美しさを楽しめる。

コペンハーゲンの公園

(c)Tredje Nature

都市洪水への取り組みとしてコペンハーゲンにつくられた公園は、100年に1度の大洪水にも対応できる地域の重要な安全対策であり、住民に豊かな緑と余暇や休息の楽しみを提供してくれるだろう。新しい都市インフラの形のひとつである。

【参照サイト】ENGHAVEPARKEN – CLIMATE PARK
【参照サイト】コペンハーゲン - レジリエントでグリーンで暮らしやすい都市
【関連記事】都市の洪水防止に。デンマーク発、雨水を自然循環させる歩道
(※画像および資料提供:Tredje Nature

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