「サステナブルな新素材」のレシピ、オランダの実験プラットフォームで公開中

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サステナビリティや脱炭素について考えるとき、私たちの身の回りの製品の素材を、生産工程から廃棄までで地球に害のないものに変えていくことは欠かせない。

近年では、世界中の企業や研究機関が、さまざまな自然由来の材料から生分解可能な素材を開発している。しかし、そういった素材をつくるための技術や材料を知っているのはまだ一部の人々であり、そのナレッジが広く共有されなければ、現状を大きく変えていくには時間がかかるだろう。

Materiomというオンライン上のプラットフォームは、この状況を大きく変える可能性を秘めている。ここでは、さまざまな自然由来の材料からあらゆるサステナブルな素材をつくるための“レシピ”を、誰でも見ることができるのだ。

プラットフォーム内の「Materials Library」からは、材料や加工プロセスのカテゴリーを指定してレシピを絞り込むことができる。また、それぞれの素材ページには、素材をつくるために必要な道具や材料の種類と量、そして加工方法が書かれている。メソッドの出典元の研究や企業のサイトへのリンクも貼られており、制作の難易度も5段階で表されている。その様子は、文字通り、料理のレシピのようだ。

掲載されている材料は、ドラゴンフルーツやひまわりの種、卵の殻、海藻、木材の灰など、多岐にわたる。しかしそれらは特別なものではなく、私たちの生活の中で豊富にあるものだ。

また、つくることができる素材も、食器やケースのような固めのものから、柔らかいプラスチックのような素材まで、さまざまだ。もちろん、自然由来の素材からできているため、全て生分解可能だ。
Materiom画面
Materiom画面

このプラットフォームは、オランダのアムステルダムに拠点をおくMetabolic Instituteという非営利のシンクタンクが、他の複数の企業や財団と協力して2016年に立ち上げた。レシピは、デザイナーや科学者、エンジニアなどからなる国際的なコミュニティによって提供されており、サステナブルな素材をつくるための実験や開発を推進することも目的としている。

Metabolic Instituteの代表であるLiz Corbin氏はプラットフォーム内で、「毎年、自然界では人間の生産量をはるかに上回る膨大な量の材料が生産されており、その100%が生分解可能、そして再生可能なものです。」と、素材について自然界に学ぶ必要性を訴えている。

このプラットフォームをきっかけに、世界中の誰もが、自然由来の材料から素材をつくったり、新たな素材を開発するヒントを得たりすることができれば、私たちはより速く、持続可能な社会の実現に近づけるのではないだろうか。

【参照サイト】Materiom
【参照サイト】Materiom(Instagram)
【参照サイト】Metabolic Institute

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