新聞や雑誌、紙袋、カレンダーやパンフレット。このような紙製品を使った後、皆さんはどうしているだろうか。公益財団法人古紙回収センターによれば、日本の古紙回収率は80%以上(※1)と比較的高く、その多くがリサイクルされている。
一方でインドでは、古紙回収率は20%強(※2)にとどまる。古紙が回収されず廃棄物として処理されると、貴重な資源を失うだけではなく、ごみ処理場の容積を埋め、処理の段階でCO2を排出してしまう。
この問題に一石を投じるのが、インドの古紙をアップサイクルするアクセサリーブランド「papermelon」だ。花や木などのデザインの“Vibrant Nature”や、インドの情緒を感じる“Incredible India”など、コレクションの豊富さも魅力的だ。
アクセサリーの原料には、新聞や雑誌、紙袋、包装紙、カレンダーやパンフレットなどの古紙を使用。「ずっと大切にしてもらえるように」という思いのもと、防水剤でコーティングされているので、紙製でも耐久性を備えた製品となっている。これまでに、インド国内のほか、35か国へ出荷されている。
アクセサリーの金具は、地元の小さな個人経営の業者から調達。また、輸送の際のパッケージには地元のアーティストが手作りした箱を使用している。緩衝材にはリサイクルされた紙を、ギフト包装のリボンには洋服の仕立てで不要になった布の端切れを使うなど、環境への配慮を徹底している。
Papermelonを創業したのは、デヴィ・チャンド氏。南インドのチェンナイに住み、自宅の小さな工房でアクセサリーをつくっているという。材料となる古紙は、デヴィ氏の友人や近所の人、彼女のアクセサリーづくりに賛同する人たちなど、個人的なネットワークから集めている。古紙はそれぞれ個性的なデザインと色合いを持つため、デヴィさん自身も完成形が予想できず、ワクワクしながらつくっているそうだ。
廃棄物になるはずのものをアップサイクルした製品は、世界中で生まれている。今回は、廃棄物処理が発展段階にあるインドで行われているということに、より一層意義を感じる。人口が多く、廃棄物もおのずと多くなるインドだからこそ、何かほかの用途で使える材料はたくさんあるはずだ。世界で注目されるようなデザインが、これからもたくさん生まれることを期待したい。
※1 公益財団法人 古紙回収センター 会報第47号1巻 p.13
※2 公益財団法人 古紙回収センター 会報第47号1巻 p.13
【参照サイト】Papermelon(公式)
Edited by Motomi Souma