何気ない言葉に隠れた”無意識の差別”を解説する、マイクロアグレッション辞典

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マイクロアグレッション」という言葉をご存じだろうか。

「小さな攻撃性」や「微細な攻撃」と訳されるマイクロアグレッションは、人と関わるとき、相手を差別したり、傷つけたりする意図はないのに、相手の心にちょっとした影をおとすような言動や行動をしてしまうことを意味する。

例えば、「LGBTQなの?見えない!意外!すごくまともに見える」といった、LGBTQがまともではないと認識しているような言い方や、「〇〇さんは韓国人だからキムチ常備してるんでしょ?(笑)」といった文化的ステレオタイプなどがそれにあたる。

上記の例のように、マイクロアグレッションはさりげない偏見や無意識の思い込みに基づいている。「もしかしたら自分も、何気ない発言で誰かを傷つけていたかも」とはっとした人もいるかもしれない。

どういった発言がマイクロアグレッションにあたるのか?それを知りたい人におすすめなのが、マイクロアグレッションのオンライン辞書「マイクロペディア」である。

これはカナダのトロントで立ち上がったオンラインユーザー参加型の辞書で、クラウドファンディングで運営されている。ユーザー自身がマイクロアグレッションとされる用語やフレーズ、形容詞と、それらの解説を追加していくのが特徴だ。

このオンライン辞書の目的は、これらのフレーズが使われるシチュエーションや、なぜそれがマイクロアグレッションとなるのかという情報を提供することで、マイクロアグレッションとなるフレーズの認知を高めることだ。

マイクロペディア上のフレーズは、「LGBTQ/年齢/階級/障がい/民族性/ジェンダー/先住民族/人種/宗教」の項目にカテゴライズされており、各フレーズは、そのフレーズがなぜマイクロアグレッションにあたるのか解説されている。

ここでいくつかフレーズとその解説を紹介したい。

I couldn’t tell you were gay/あなたがゲイだったとは気づかなかったよ
ーLGBTQ+カテゴリー
解説:このフレーズは、「ゲイの人はみんな、ゲイであることがわかりやすい共通の見た目をしている」と認識していることを示す。ゲイの人が個人であることを認めていない。その人がゲイであるかどうかを知る唯一の手段は、本人が打ち明けた時である。特徴やその他の方法でその人がゲイであるということを指し示すものはない。

You’re pretty for a Black girl/黒人の女の子にしてはかわいいね
ー人種カテゴリー
解説:このフレーズは、「美しさのスタンダードは黒人ではないと認識している」ことを示す。黒人女性に対して「黒人は本来的に魅力的ではないが、彼女は例外である」と伝えている。例えそれが褒め言葉だったとしても、黒人女性が魅力的であるという事実が驚きであったことを表現してしまっているため、攻撃的である。この言葉を聞いた黒人女性は、自身の美しさに疑問を持ってしまい、「美しさのスタンダードは黒くない肌や特徴である」という概念を持ち続けてしまう。このフレーズは黒人女性に限った話ではなく、他の全てのジェンダーの非白人の人々が経験する可能性があることである。

いかがだっただろうか?何気ない一言の裏に潜む「無意識の偏見」が言語化されており、フレーズのどのような点が相手を傷つけるのかがきちんと可視化されているのがわかる。

これまで受けたマイクロアグレッションの意味を調べるのはもちろん、これから誰かを無意識に傷つけないようにこの辞書を活用してみてはいかがだろうか。

【参考サイト】The Micropedia
【参照サイト】The Micropedia of Microaggressions launches to shed light on a subtle but commonly experienced form of discrimination
【関連ページ】マイクロアグレッション

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