1969年、人類初の月面着陸に成功したアポロ11号は、月に着くまで4日と6時間かかった。人類は今火星を目指しているが、火星まではどれくらいの日数がかかると思うだろうか。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)によると、現在の技術では約250日かかるという。火星で調査を行う期間を考慮すると、地球を出発してから戻ってくるまで3年近くもかかるという長旅だ。
それに伴い懸念されるのが、火星への旅の過程で出るごみを、どのように再利用するかという問題だ。
ロケットに補給物資を輸送する補給船も、火星まで行くのは簡単ではない。そのため、ロケット内の資源をできる限り循環させる必要があるのだ。
アメリカ航空宇宙局(NASA)は2022年1月、クラウドソーシングサイト「HeroX」で、火星への旅で出るごみを再利用するアイデアの募集を始めた。募集期間は2022年3月半ばまでで、4月下旬には選ばれたアイデアが発表される。
NASAがアイデアを募集するごみのジャンルは、「一般的なごみ(ウェットティッシュ、服、プラスチックなど)」「排泄物」「発泡体」「CO2」の4つだ。
発泡体は、ロケットを打ち上げるときにモノを衝撃から守るために使われ、その後は使われないにも関わらず場所をとることが課題となっている。CO2は、宇宙飛行士が吐き出すものだ。
NASAは特に、ごみからロケットの推進剤や、3Dプリンターで使える材料を作る方法に関心を持っているという。たとえば、発泡体やCO2から酸素を再生する際に発生する炭化水素(HC)を使って推進剤を作ることや、発泡体から3Dプリンターの材料を作ることが可能になれば、ロケットの中のスペースが広がり非常に助かるそうだ。
さらに、宇宙空間で生活するには、水も極めて重要だ。すでに国際宇宙ステーションでは、尿や湿度から水を得る技術が使われているが、NASAは他の方法でも水を再生できないか、アイデアを募っている。たとえば、糞便から水を再生するために、糞便に含まれる微生物の働きを利用できないかなどだ。
宇宙という特殊な環境で求められる資源循環のレベルは、非常に高い。資源循環の推進に関心のある人は、注目せずにはいられないのではないだろうか。
もし、ごみの再利用のアイデアがある人は、以下のサイトから応募してみてはいかがだろうか。
【参照サイト】 Waste to Base Materials Challenge: Sustainable Reprocessing in Space | HeroX