遊牧民は、どうやって学校教育を受けるのか?中央アフリカの移動式スクールに学ぶ

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非定住生活を営む、遊牧民。そんな彼らは、医療や教育サービスにアクセスしにくいという課題を抱えている。

たとえば、2016年にアフリカのナイジェリアで野生株ポリオの感染が確認された後、近隣のカメルーン、中央アフリカ共和国、チャド、ニジェールを含む5か国において、数千万人もの子どもにワクチン接種が行われた。しかし、当局が居場所を把握できない遊牧民には、ワクチンが行き渡りにくかったという。

世界保健機関(WHO)などは2019年、こういった状況を踏まえ、アフリカで遊牧民を探し、子どもにポリオワクチンを届ける取り組みを実施。チャドでは、1,067もの遊牧民グループを見つけ、2万7千人以上の子どもにワクチン接種を行った。

このように、アフリカで移動式医療チームが活躍するなか、チャドでは「移動する学校」も誕生した。レオナード・ガマイーグ氏が2019年に始めた、青空教室だ。


同氏は、約2か月ごとに場所を変える遊牧民グループの後を追い、70人あまりの子どもたちに授業を提供。授業に必要な道具は、財団などからの支援を受けて用意しているという。

このような取り組みは、学校で教育を受ける習慣を持たない人々にとって画期的だ。先住民問題に取り組む国際NGOのIWGIAによると、2018年時点で、同国の遊牧民の子どもの就学率は1%未満となっている(※1)

そんな中、ガマイーグ氏が保護者と話し合いながら授業を提供することで、彼らの考え方に変化が表れ始めている。ある保護者は、ロイターの取材に対して次のように語っている。

私たちは、学校ができて喜んでいます。子どもたちが、厳しい生活環境の中でも前進していることが嬉しいです。私たちはこれまで、学校教育の重要性を理解していませんでしたが、最近では自分たちのため、そしてこの国のために大切なのだと、理解するようになりました。

子どもたちはガマイーグ氏の授業に参加することで、自分の名前を書けるようになったり、計算ができるようになったりしているそうだ。

私たちとは異なるライフスタイルを送る人々に合わせて、学校のあり方を変えることで、教育格差の解消につながるのではないだろうか。

※1 Indigenous World 2019: Chad – IWGIA – International Work Group for Indigenous Affairs
【参照サイト】In Chad, a mobile school offers nomad children hope | Education News | Al Jazeera
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